* S *
閉店時間を10分程過ぎて店に到着した。
シャッターが一ヶ所だけ開いていて店内には
明かりが見える。
よかった、待っていてくれる。
チリンッ
ドアを開けるとカウンターにいた相葉さんが
顔を上げてホッとしたように微笑んだ。
「 すみません、遅くなりました 」
「 ぜんぜんですよ
お仕事おつかれさまです 」
「 タクシーを待たせているんですがもう出ら
れますか? 」
「 大丈夫です
戸締まりをするだけなので 」
「 では、行きましょうか 」
「 はい 」
タクシーに乗り込んで隣にすわるとフワリと
相葉さんから花の匂いがした。
「 そういえば、相葉さんは可愛いスタンプを
使うんですね 」
「 へ? 」
「 さっきのリスの… 」
「 あぁ、あれ…くふふっ 」
何だ?おかしなことを言ったか?
「 あのリスね
櫻井さんに似てたから買ったんです 」
「 え?オレ? 」
「 口にいっぱいご飯を詰めてモグモグしてる
顔がそっくりでかわいかったから 」
楽しそうに笑う相葉さんの方が何倍も可愛い
と口にしそうになってグッと飲み込んだ。