* S *
久しぶりに雅紀のマンションへ来ることができ
たが雅紀は浮かない顔だ。
「 どうかしたのか? 」
「 なんでもないよ
ご飯の用意するから待ってて 」
「 ありがとう 」
なんでもないっていう感じじゃない。
メッセージのやりとりはしていたが会えなかっ
たことを怒っているのか?
何度も誘いを断っていたからな…
「 雅紀、ごめんな 」
少し痩せたように思う身体を抱きしめたけれど
いつものように抱きしめ返してはくれない。
「 雅紀? 」
「 なんで謝るの? 」
「 いや、なかなか会えなかったから… 」
「 ……… 」
俯く雅紀の顔を上げてキスをしようと唇を寄せ
るとフッとそらされた。
「 ごまかさなくていいよ、わかってるから 」
「 なんのことだ? 」
「 無理に来なくていいから 」
「 は? 」
「 ごめん、やっぱり帰って 」
「 本当にどうしたんだ? 」
「 ねぇ、しょーちゃん
オレたち別れた方がいいよね 」
「 会えなかったことを怒ってるのか?
でも仕事なんだ、わかるだろう? 」
「 それだけじゃないでしょ…
もういいから帰って 」
「 雅紀、説明しろ!どういう… 」
「 帰って 」
ドンッ
わけがわからない。
その上、胸を強く押されてよろけた。
「 わかった、今日は帰る 」
荷物を持って帰ろうとしてもオレを見ようとも
しない雅紀に腹が立って部屋を出た。
「 なんなんだ、いったい… 」
そんな最悪な夜の翌日。
局から海外転勤の辞令が下りた。
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