* S *
明日は green leaf の定休日。
警察へ行く日だ。
カフェのバイトは今日で終わりになる。
「 短い間でしたがありがとうございました 」
「 こちらこそ、ありがとう
また相葉くんと二人で寄ってね 」
「 はい 」
「 これ、今日までのお給料
おつかれさまでした 」
「 お世話になりました 」
カフェを出て店を覗くと相葉さんは接客中だ
った。
声はかけずに裏口から2階の住居へ戻り、も
らった給料袋の中身を確認する。
「 食費くらいにはなるかな… 」
相葉さんへのお礼にはぜんぜん足りないが身
元がわかればもう少し何かできるだろう。
洗濯物を片付けて時計を見ると閉店時間には
まだ時間がある。
「 そうだ、歩ける距離だしあのケーキ屋へ行
ってみるか 」
二人でたまたま見ていた情報番組で紹介され
たケーキ屋のチョコレートケーキが美味しそ
うだと言っていたのを思い出した。
「 まだ残っているといいけど… 」
封筒から五千円札を抜き取り家を出る。
相葉さんの喜ぶ顔が見たい。
この時のオレには彼が何よりも大切な存在だ
った。