櫻井さんの手が重なってそっと握られる。
ドキドキするけど、でもあったかくて安心で
きて心地いい。
「 櫻井さんはオレと…その…シたいの? 」
「 雅紀のことが好きだ
だからもっと雅紀のことが知りたいし、オ
レのことも知ってほしい 」
「 そんなにオレのことが好き? 」
「 好きだ 」
真っ直ぐに見つめられて迷いなく答えてくれ
る櫻井さんに胸がギューッてなる。
「 オレも好き…だから… 」
「 ん? 」
「 泊まっていってほしい 」
櫻井さんが一瞬驚いた顔になって、それから
すごくすごく優しく笑った。
これまで恋人がいなかったわけじゃないけれ
ど、こんなにも幸せな気持ちになれたのは櫻
井さんが初めてかもしれない。
「 えっと、どうすればいいかな?
とりあえずお風呂だよね?入れてくる 」
「 じゃあ、オレは片付けをしておくな 」
「 いいよ、オレがやるから 」
「 料理はできないけど片付けはできるぞ 」
「 くふふっじゃあ、お願いします 」
「 了解 」
お風呂の準備をして、それからベッドのシー
ツを変えたけど…
そういえば、必要なものがなにもない。
それに知識があまりにも曖昧だ。
急に不安になって洗い物をしている櫻井さん
のところへ行くとちょうど片付けが終わった
ところだった。
「 どうした? 」
水で冷たくなった櫻井さんの手が頬に触れて
ひんやりする。
「 必要なものとかなくて…
それにオレ勉強不足でやっぱり今日は… 」
しどろもどろで情けないけど正直に言うしか
他にない。
「 あぁ、オレの車にあるから大丈夫だ
それに雅紀は何も心配しなくていい 」
「 へ? 」
「 雅紀がOKしてくれた時のために準備をし
てきた
ははっ…必死すぎてかっこ悪いな 」
「 そんなことないよ、ありがとう 」
なんだか櫻井さんのことがすごく愛おしくな
ってギュッと抱きしめた。
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