櫻井さんとの " お付き合い " が始まった。


男性と付き合うのは初めてだから勝手がよく

わからない。

というか、完全にオレが " 彼女 " の役割にな

っている。


デートの誘いも

エスコートも

キスも


全部、櫻井さんが主導権を握ってる。

あたりまえだよね。

だって櫻井さんは " 彼氏 " のプロだもん。


別にそれが嫌だっていうわけじゃないけど、

オレも櫻井さんになにかしてあげたいって気

持ちはめちゃくちゃある。


とはいえ、結局すべてにおいてスキルで負け

ているからどうにもならない。


「 どうした?難しい顔をして 」


「 櫻井さんって苦手なことないの? 」


「 苦手なこと? 」


「 うん 」


「 前にも言ったけど料理は苦手だな

    仕事で活かそうと思って潤に教えてもらっ

    たけどぜんぜんダメで諦めた 」


「 そんなに? 」


「 ははっ潤にも呆れられた 」


潤さんの名前がでるとモヤッとする。

かわいい後輩って言っていたし、潤さんの様

子からすごく仲良くしているんだろうって想

像がつく。


「 櫻井さん、次に会う時はオレの家でご飯食

    べようよ 」


「 雅紀が作ってくれるのか? 」


「 前に約束したでしょ?

    潤さんみたいなオシャレなものは作れない

    けどね

    櫻井さんも一緒に作ろう? 」


「 雅紀にカッコ悪いところは見せたくないん

    だけどな 」


「 オレは見たいよ

    櫻井さんのいろんなところを見たいし知り

    たいって思う…ダメ? 」


「 ダメじゃない、楽しみにしてる 」


櫻井さんがうれしそうに微笑むからオレもす

ごくうれしくなった。