「 今日はありがとう、すごく楽しかった 」
「 そうか、それならよかった 」
別荘からアパートまで送ってもらって車から
降りないといけないのになんだか別れがたく
て降りられない。
なんでこんな気持ちになるんだろう?
それだけ今日が楽しかったってことかな?
ううん、たぶん違う。
オレは櫻井さんと別れるのが寂しいんだ。
「 えっと、あの…
よかったらお茶飲んでいかない? 」
「 いいのか?部屋にあがっても 」
「 櫻井さんがよければ 」
「 ……… 」
黙ってしまった櫻井さんに不安になる。
疲れてるのに誘って悪かったかな?
「 あの、やっぱり無理にはいいから
すごく楽しかったし送ってもらったからと
思ったけど疲れてるよね?
引き止めてごめん 」
「 そうじゃない 」
「 じゃあ、なに? 」
わかんないよ。
ずっとそんなふうに言われてもわかんない。
「 櫻井さん、オレははっきり言ってもらえな
いとわかんない
今日だってずっと考えてた、だけど… 」
「 わからないか? 」
「 友達じゃないんでしょ?だったらなに?
オレのことからかってんの? 」
「 ………これならわかるか? 」
「 えっ? 」
チュッ
腕を引かれて櫻井さんに倒れ込むと、抱きし
められて目尻にキスをされた。