翌朝 11:05 . . .
支度に手間取って約束の5分過ぎに部屋を出
ると道路脇に赤い外車が停まっていた。
ヤバッあれかな!?
階段を降りていくとドアが開いてTシャツと
ジーパン姿の櫻井さんが現れた。
スーツもカッコいいけど、こうゆう格好も似
合うなぁ。
「 おはようございます 」
「 おはよう
ったく、オレを待たせるのはやっぱりオマ
エだけだな 」
「 えっと…お待たせしてごめんなさい 」
「 いい、別に怒っているわけじゃない
それより敬語 」
「 あ、うん…ごめん 」
「 ほら、早く乗れ 」
言い方は優しくないけど、助手席のドアを開
けてくれて背中に添えられる手は優しい。
「 どこへ行くの? 」
ラフな格好で来いって言われたけどどこまで
行くんだろう?
「 ◯◯にある別荘 」
「 別荘なんて持ってるの!? 」
「 オレのじゃなくて会社のな
保養所的なやつだ 」
「 へぇ、いい会社ですね 」
「 まぁな、社長が一番使ってるけど 」
「 大野さんが? 」
「 あの人、釣りが趣味なんだよ
海が近いんだ 」
「 そうなんだ 」
「 日焼けしてただろ? 」
「 そう言われてみればそうかも 」
「 海釣り焼けなんだよ 」
「 くふふっいいなぁオレもやってみたい 」
「 それはまた今度な
今日はピザを焼く 」
「 ピザ? 」
「 ピザ釜があるんだ
材料は後ろに積んである 」
「 すごい、めっちゃ楽しみ! 」
「 ははっそうか 」
うれしくて楽しみでつい大きな声を出してし
まうと櫻井さんもオレに負けないくらいの声
で笑った。