「 ネクタイ似合ってますね 」

「 そうか?じゃあまた選んでくれ
    相葉もそのジャケット感じいいな
    ◯◯(ブランド)のものか? 」

櫻井さん、オレが前に◯◯で働いていたこと
を知ってるんだ。
二宮さんに聞いたのかな?

「 そうです、去年のですけど 」

「 どうして辞めたんだ
    副店長だったんだろう? 」

「 えっと… 」

「 あぁ悪い、不躾だった 」

「 いえ、いいんです
    ちょっと逆恨みされちゃって… 」

「 同僚にか? 」

「 はい、告白を断ったんです
    男性だったんですけどね
    そうしたら上にあることないこと告げ口さ
    れて修復も難しくなって辞めました
    恨まれるような断り方はしていないつもり
    だったんですけど… 」

「 そうか、大変だったな 」

「 でも今の職場に出会えたからむしろ良かっ
    たです 」

「 相葉はセンスがいいし物腰も柔らかであの
    店にあっていると思う 」

「 くふふっありがとうございます 」

「 あの日…
    予約をして名刺入れを届けてくれた日は悪
    かった 」

「 いえ、それはもういいです
    オレも派遣会社の方へ届ければよかったん
    ですけど、もう一つの方がバレるとまずい
    のかもって思ったんで 」

「 やっぱりそうか
    気遣ってくれたのに本当にすまなかった 」

まっすぐオレを見て謝ってくれる。
そんな櫻井さんにこれまで感じていた嫌な気
持ちはもうほとんどなかった。