* A *
なんだかもしかしてオレってチョロい?
あんな触れるだけのキスで、しかもしょーち
ゃんにとってはただのストーカー対策だった
っていうのにオレは意識しまくりなのを隠す
のに必死だ。
15年前、しょーちゃんがうちの会社へ転職し
てきて教育係をしたのがきっかけで仲良くな
った。
誰よりも一緒にいて楽しい
誰よりも一緒にいて安心する
大人になってからの友達は貴重だ。
そして、しょーちゃんがいれば寂しくもなん
ともなくて何年も恋人はいない。
でも恋愛の好きかっていうと違う。
違うと思ってた。
しょーちゃんと手を繋いでキスをして、なん
ならその先も…
そんな想像をしてみてもなんの違和感もなく
できてしまう。
ていうか、え?
オレってしょーちゃんとできるんだ?
オトコと関係をもったことはなくもないし、
好きならなんの問題もないと思ってる。
だけど、しょーちゃんがオレと同じとはかぎ
らないから下手なことをして今の関係が壊れ
るのが怖い。
ずっとずっとこのままでいたい。
ガチャッ
「 ふぅ…暑っ 」
風呂上がりのしょーちゃんが上半身裸のまま
現れた。
見慣れたその姿にドキッとしたオレはホント
にバカでチョロい。