嘘でしょ、なんで?


「 相葉さん、どうかしましたか? 」


「 すみません、なんでもないです

    大野様、櫻井様、いらっしゃいませ 」


「 新人さん? 」


「 相葉と申します、よろしくお願いします 」


「 しばらく私の下につきますのでよろしくお

    願いします 」


「 相葉ちゃんかぁ、よろしくね 」


「 ……… 」


「 櫻井様、どうかされましたか? 」


「 いや、何でもない 」


「 それでは大野様はフィッティングルームへ

    どうぞ

    仮縫いが仕上がっております

    櫻井様はあちらのソファでお待ちください

    カタログとコーヒーをお持ちしますね

    相葉さん、ご案内してください 」


「 はい…こちらへどうぞ 」


フィッティングルームのそばにあるソファへ

案内してカタログとコーヒーを持っていくと

いきなりため息をつかれた。


「 はあっ…どうしてここにいるんだ 」


「 どうもこうも今日からここで働くことにな

    ったからです

    別にアナタをストーカーしているわけじゃ

    ない、全部偶然だから 」


「 ふぅん? 」


「 なんだよ?自意識過剰なんじゃない!? 」


「 ………生地サンプルも持ってきてくれ 」


「 はい、少々お待ちください 」


ムカつくムカつくムカつく!

ホント、いちいち感じ悪い。

この人の名刺がラッキーカードだなんて気の

せいだったんだ。

ラッキーマンじゃなくて疫病神じゃん。


でもどんなにムカついてもこの人は大切なお

客様なんだから。

耐えろ、我慢…我慢だ!