「 ホントに " ショウ " さんだ… 」


間違いなかった。

オレを何度も助けてくれた人、そしてラッキ

ーカード(名刺)をくれた人。

いや、くれたっていうか拾ったんだけど…


実は今日の予約をした翌日、面接を受けたテ

ーラーの採用が決まった。

もちろん正社員として。


この人との出逢いはオレにとってきっとアン

ラッキー脱出のきっかけになる。

そう感じずにはいられなかった。


「 ………ゲストに対して申し訳ない

    今日はご指名ありがとうございます

    " Lucky Man " の SHO です

    規約は読まれていますか?

    一度でしたらチェンジもできますがどうさ

    れますか? 」


「 えっチェンジ?しないよ

    オレ、アナタに何度も助けてもらったお礼

    が言いたくて…

    ありがとうございました 」


「 それはたいしたことじゃないからいい

    だけど何故オレのことがわかったんだ? 」


「 これを拾ったから返したくて… 」


ハンカチ・人材派遣 " Sunshine " の名刺・

" Lucky Man " の名刺が入った名刺入れをそ

ろえて差しだした。


「 これ全部?マジか…

    そういうことなら前払いされている代金は

    全額返金するように手続きしておきます

    届けてくれてありがとう…じゃあこれで 」


「 え?ちょっと待って! 」


ショウさんがあっさりその場を去ろうとする

から咄嗟に服の裾を掴んだ。


「 まだ何か?やっぱりオマエ…

    わかった、これでいいか? 」


財布から取り出した3万円を渡され、こんな

ことをされるとは思わなくて唖然とする。


「 なにこれ… 」


「 足りないか? 」


別になにかを期待していたわけじゃない。

オレが勝手にこの人はいい人でオレにラッキ

ーを運んでくれた人って思っていただけ。


「 こんなのいらねぇよ! 」


悔しくて涙がでそうになるけど、コイツにそ

んな顔は見られたくない。


お金を突き返してその場から走って逃げた。