三度目は必然 . . .






「 よし、キレイになった 」


借りたハンカチを洗濯してピッチリとアイロ

ンをかけた。

とはいえ、返せるあてはないんだよねぇ…

だって、コーヒーショップで拾った名刺があ

の人のものとは限らない。


「 人材派遣 " Sunshine "

    櫻井… " かける " ?あ、" しょう " か 」


小さくローマ字でふりがながふってある。

羊に羽で " しょう " なんだ。

くふふっなんかかわいいな。


「 てゆうか、副社長?すごっ 」


スーツに時計、ハンカチまで高級ブランド。

だけど嫌味のないデザインがセンスの良さを

思わせる。

それになんかいい匂いしたし…


はぁっ


男として自分との差にへこむ。

まぁ、比べてもしょうがないけどね。


いつか返せるといいなと思いながらハンカチ

を引き出しにしまった。





今日の面接は印象がよかった気がする。


翔さん(勝手にそう呼んでいる)のスーツ姿が

カッコよくてスーツに興味がでたから初めて

テーラーの販売員に応募してみた。


決まるといいなぁ…

スタッフの人もすごく感じがよかったし。


それにあの名刺を拾ってからちょっとだけい

いことがあったんだよね。

もしかしたらラッキーカードなのかも?


そんなことを考えながらぼうっとしていたの

が悪かった。


キキキッ


「 危ない! 」


すごいスピードで走ってきた自転車と接触し

そうになったところを腕を力強く引かれてそ

の勢いによろけて膝をついた。


「 うわ…びっくりしたぁ 」


心臓がドキドキ鳴りながら助けてくれた人に

お礼を言おうと見上げると険しい顔をしたイ

ケメンが目の前に手を差し伸べている。


「 あの、ありがとうござい… 」


「 またオマエか 」


「 え?あれ? 」


「 鈍臭すぎだろ 」


雰囲気がぜんぜん違うけどこの人って…


「 怪我は? 」


「 ないです、ありがとうございました 」


「 気をつけろよ

    ごめん、行こうか 」


よく見ると隣にキレイな女性がいる。

イケメンの彼女(?)はやっぱり美人だ。


「 また助けられちゃった… 」


二人の後ろ姿を見送りながら自分も駅へ向か

おうとすると街路樹の根本に名刺入れが落ち

ていることに気がついた。


これってもしかしてあの人の?


拾って中をのぞいてみると名刺に " SHO " の

文字があった。









*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*






↑ こんなイメージです❤️




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ます。→ ★★★