* S *
「 智くん、おはよう
待たせてごめん 」
「 おう、おはようっつっても昼過ぎだけどな
締切だったんか? 」
「 あぁ、うん
でももう片付いたから大丈夫 」
「 急に来て悪かったな
翔くんの好きな食パン買ってきたぞ 」
「 ありがとう 」
「 しょーちゃん、サンドイッチにする?
お腹すいたでしょ? 」
「 あぁ頼む 」
「 はい 」
「 ………何?智くん 」
「 いやぁ、いい嫁さんもらったなと思って
美人で可愛くて働き者で 」
「 いや、嫁とかじゃないから 」
「 え?恋人だろ? 」
「 違っ大野さん、違います
オレはしょーちゃんに拾われたペットだか
ら………あっ 」
「 ペット? 」
「 智くん、いいからちょっと書斎にきて
雅紀、できたら呼んでくれ 」
" ペット " のワードに食いついた智くんを雅
紀から引き剥がし、書斎に連れていって数枚
の写真を見せた。
全てオレが撮った雅紀の写真だ。
「 率直にどう思う? 」
「 以前の感じとは違うけどいいと思うぞ
なんていうか…
被写体への愛しみを感じる
大切にしてるんだな、相葉ちゃんのこと 」
「 雅紀なら…雅紀だったらまた “ 人 " を撮れ
るような気がしたんだ
名前を伏せてコンテストへ出してみようと
思ってる 」
「 いいんじゃないか?オレは賛成
翔くんが一歩踏み出してくれてうれしいぞ
相葉ちゃんのおかげだな 」
智くんの言う通り、こんな気持ちになれたの
は雅紀と出逢えたからだった。