* A *
「 はぁ〜気持ちいい 」
今日はしょーちゃんが出版社で打ち合わせだ
からアシスタントの仕事は休み。
ずいぶんあったかくなったから夕飯の買い物
がてらカメラを持って近くの公園を散歩して
いた。
「 あ、これ桜の木かな 」
少し膨らんできた蕾にピントを合わせてシャ
ッターを切る。
春がもう近い。
しょーちゃんに拾われたあの雪の日から季節
が変わろうとしていた。
「 いつまでしょーちゃんのそばにいられるん
だろう… 」
夏まで?
秋まで?
次の冬まで?
しょーちゃんと月を見たあの夜、目を閉じた
のは賭けだった。
もしかしたらキスしてくれるかもしれない…
そう祈ったけれどくれたのは鼻へのキス。
「 オレはやっぱりペットかぁ… 」
それならせめて仕事をがんばろう。
しょーちゃんに必要だって思われたい。
「 ねぇ、それフィルムカメラ? 」
そんなことを考えながらシャッターを切って
いると不意に声をかけられた。
「 え? 」
「 あ、急にごめん
今時珍しいなぁと思って 」
振り返るとオレと同じくらいの年のイケメン
が笑顔で立っていた。
「 うん、そうだよ
知り合いにもらったものだけど 」
「 へぇ…どんなの撮るの? 」
「 思い出に残しておきたいものかな 」
「 そっか…ふふっいいね
オレ、すぐそこのダイニングバーで働いて
るからよかったら今度来てよ
君の撮った写真も見てみたいな 」
「 あそこのオシャレなお店? 」
「 そうそう、オシャレな店(笑)
オレ、潤っていうんだ
名前聞いてもいい?
同じくらいの年だよね 」
「 雅紀だよ、23 」
「 1つお兄さんだ 」
「 くふふっ近いうちに行くね 」
新しい出会いにちょっとワクワクした。
*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
かわいい💚