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しょーちゃんのアシスタントを始めて2ヶ月
たったある日、小さなかわいいカメラをもら
った。
「 フィルムカメラだ
現像の仕方も教えてやる 」
「 ありがとう
なにを撮ったらいいかな? 」
「 残しておきたいと思う瞬間
写真っていうのは本来そういうものだ 」
「 そっか…うん、わかった 」
デジタルみたいに撮り直しがきかないフィル
ムカメラ。
最初に撮ったのはマンションのベランダから
見える青い空と白い雲だった。
次にしょーちゃんに買ってもらったスマホ、
色違いのおそろいのコーヒーカップ、2本並ん
だ歯ブラシ、それからしょーちゃんのペット
である証のドッグタグ。
ここを出ていく日がきたらせめて写真だけで
も持っていきたい。
しょーちゃんと過ごした瞬間はオレにとって
特別で大切なものだから…
それからもう一つどうしても撮りたいもの。
自分で現像ができるようになったら、そうし
たらしょーちゃんには内緒でしょーちゃんの
写真が撮りたい。
取材撮影旅行の時もスマホでしょーちゃんを
内緒で撮ったんだけど、うっかりその画像も
しょーちゃんに送っちゃってちょっとだけ怒
られた。
だから見つからないようにしなきゃ。
最近、気づいたことがある。
しょーちゃんは " 人 " を撮らない。
しょーちゃんの過去の作品には人物が入った
写真や雑誌のグラビア写真なんかもあった。
いつからなんだろう?
きっとなにか理由があるんだろうけどオレが
触れていいことじゃない気がする。
しょーちゃんのことがもっと知りたい。
好きな人のことをもっと知りたい。
どんどん欲深くなる自分の気持ちを抑えて今
夜もしょーちゃんに抱きしめられて眠る。
そして、しょーちゃんが眠りにつくと秘密の
キスをして罪悪感を感じながら眠る夜を繰り
返していた。