* A *
ちょっと上目遣いで
ちょっとクチビルを開いて
ちょっと寂しそうに
「 ねぇ、しょーちゃん 」
こうして名前を呼ぶのがしょーちゃんを振り
向かせるための秘訣。
「 何だ? 」
いくつもある新聞からやっと目を離してオレ
を見てくれる。
なんだじゃないでしょ?
オレ、もうずっと待ってるよ?
なにも言わずにジッと見つめるのも秘訣。
そうすれば、ほらね?
「 雅紀 」
触れられて
抱きしめられて
欲しかったものが手に入るから。
「 ねぇ、しょーちゃん 」
「 ん? 」
「 好きだよ 」
「 ………オマエなぁ、そういうとこだぞ 」
「 くふふっなにが? 」
「 わかってやってるだろ 」
「 どうだろう? 」
「 愛してる 」
うん、もっと言って。
もっとちょうだい。
チュッ
「 欲しがり雅紀
オレからどれだけ持っていく気だよ 」
「 全部だよ 」
しょーちゃんの背中に腕をまわしてギュッと
抱きしめた。