* A *
翌日 . . .
ザザーーーッン
海に光る夕陽、潮風、打ち寄せる波…
冬の海はすごく寒いけれどキレイだ。
カシャッカシャッ
その風景をカメラで撮っているしょーちゃん
もキレイでかっこよくて目が離せない。
仕事の邪魔にならないように少し離れた所で
その様子を見ていると不意にしょーちゃんが
オレの方にカメラを向けた。
なんだろう?
どうしたんだろう?
ファインダーからはどんなオレが見えている
んだろう?
数秒するとしょーちゃんはカメラを下ろして
そして寂しそうな顔をした。
オレ、なにかしちゃった?
嫌われたくない
邪魔したくない
わからなくて不安になってしょーちゃんから
距離をとった。
オレは賢くてかわいい犬でいなければいけな
いんだから撮影が終わるまでは目に入らない
所で待っていよう。
「 雅紀! 」
そう思って歩きだすとしょーちゃんがオレの
名前を呼んだ。
「 雅紀、来い! 」
差し出された手を逃したくなくて、その手に
向かって駆け出した。