* S *
「 お風呂ありがとうございました 」
風呂からあがってリビングに戻ってきた拾い
犬は先程までとはまったく違う印象だった。
青白かった顔色は頬をピンク色に染め、濡れ
て額に張り付いていた髪はミルクティーのよ
うな優しい色でサラサラと揺れる。
貸したスウェットを着ている身体は痩せ気味
だが手足が長くスタイルがいい。
そして俯いて表情のなかった顔は…
はっきり言って美人だ。
「 オマエ、名前は? 」
「 雅紀です
アナタのことはなんて呼んだらいい?
ご主人様? 」
「 ふっ 」
真剣な顔でそんなことを言う雅紀に笑ってし
まうと不満そうな顔で睨まれた。
「 そんな柄じゃない、翔でいい 」
「 翔?でもご主人様だし年上だし…
じゃあ、" しょーちゃん " って呼びます 」
何が " じゃあ " なのかわからないがそれもい
いだろう。
「 好きにしろ
ところで何歳だ?成人はしてるよな? 」
「 23です、しょーちゃんは? 」
「 35 」
「 え?意外にオジサン 」
………聞こえてんだよ。
「 オマエ、追い出されたいのか? 」
「 へ?あ、ごめんなさい 」
「 オレは風呂に入ってくる
腹が減っているなら適当に何か食え
寝るなら寝室はあっちだ 」
「 ……… 」
オレも身体が冷えて仕方ない。
黙ってしまった雅紀をリビングに残してバス
ルームへ向かった。
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今回はあっさり " しょーちゃん " 呼びです。