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あのメンクイ社長め…


相葉さんを見て先ず思った。

そして、この偽装結婚計画に納得した。


「 えっと…二宮さん?オレ、相葉です 」


美人でスタイルがよく、鼻にかかった甘い声

が印象的だ。


これ、絶対翔ちゃんの好きなタイプだろ。


「 はじめまして、二宮です

    この度は社長がご迷惑をおかけします

    困ったことがあったら私に何でも言ってく

    ださいね 」


「 いや、迷惑っていうか…

    住む場所とかオレもすごく助かるから 」


「 とりあえず、買い物のリストアップをしま

    しょうか 」


「 あ、オレ書き出したよ 」


差し出された紙に書かれていたのは、ベッド

と少しの衣類、キッチン用品…炊飯器?


「 相葉さんは料理をするんですか? 」


「 あのさ、金持ちって外食しかしないの? 」


「 そんなことはないと思いますけど… 」


「 だって、この家なにもないんだよ?

    ありえないくらい調理器具がないんだ 」


確かにそれはある。

だけど、翔ちゃんが包丁を持つ姿なんて想像

がつかないし恐ろしい。


「 朝ごはんとかどうしてるんだろう?

    え、朝から外食? 」


「 朝はコーヒーだけでいいそうです 」


「 ますますありえねぇわ! 」


翔ちゃんの言っていたとおり若干口が悪い。

これは追々直していかないと。

まぁ、翔ちゃんも普段は悪いけどね。


「 そういえば、掃除道具はそろってたな

    あの人、綺麗好きなの? 」


「 あぁ、週2回ハウスキーパーに掃除と洗濯

    を頼んでいるので 」


「 ………は? 」


「 あ、相葉さんも洗濯物は出しておいてくだ

    さいね 」


「 ………マジ、ありえねぇ 」


「 え? 」


「 男の一人暮らしでなんでハウスキーパーな

    んているんだよ

    金がもったいないだろっ!

    これだから金持ちは…

    ここにいる間、家事はオレが全部やるから

    ハウスキーパーは断っといて 」


「 いいんですか? 」


「 いいから、しょーちゃんにも言っとく 」


「 " しょーちゃん " ? 」


突然のその呼び方に驚いた。


「 あぁ、だって婚約者だし?

    報酬をもらう以上、完璧にこなさないと 」


その心強い言葉に社長の人を見る目に間違い

はないと感心した。


まぁ、メンクイ…

かなり基準に偏りはあるけどね。