* S *
チリンチリンッ
choco la vie のドアを開けるとフワリとチョ
コレートの甘い香りがした。
ここはいつ来ても変わらない。
「 翔さん、いらっしゃい 」
「 あぁ、これ出張の土産 」
「 ありがとう
オーダーもらったチョコレートケーキでき
てるよ
早いよねぇ
この記念日ケーキも3回目? 」
「 そうだな 」
あれから3年…
初めて雅紀の家へ行った時に持っていったも
のと同じチョコレートケーキを毎年この時期
に二人で食べるようになった。
雅紀と choco la vie で出逢って、付き合うよ
うになって…
いろんなことがあった。
喧嘩もした。
それでも雅紀への想いは日々溢れ、今では週
の半分は雅紀の家に泊まるような生活を送っ
ている。
「 もういっそ同棲すればいいのに 」
「 それは無理だろ
もしものことがあったらどうするんだよ 」
「 でもさぁ、すでに半同棲状態じゃん
まーも一緒に暮らしたがってるんじゃない
の?
まーのマンションくらいセキュリティがし
っかりしていれば大丈夫でしょ 」
「 まぁな…
それらしいことは言われてはいる 」
けれど、どうしてもクライアントのタレント
と同棲というのは気が引ける。
それにやはり雅紀の仕事に支障がでるような
危険は冒したくない。
けれど…
二人の生活を夢見ないわけではない。
いや、むしろ望んでいる。
「 それだけまーが大切ってことか
ふふふっ
じゃあ今年も二人が幸せでいられるように
オレがチョコレートの魔法をかけておくか
らね 」
そういって潤が天使の羽と赤いハートのチョ
コレートをケーキの上にのせた。
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次回、last です。