* A *
幸せすぎて怖いって…
なんて贅沢な悩みだろう。
でも今のオレにはセツジツな悩みで。
もうしょーちゃんにキュンキュン萌えまく
って心臓とまりそうなんだよ。
自分がこんなふうになっちゃうなんて信じ
らんない。
女の子と付き合ってた時だって、こんなの
なかった。
ここはちょっと距離をおこう。
そう、オレを落ち着かせよう。
こんなんじゃそのうちしょーちゃんに呆れ
られる…
絶対になにかヤラかす。
最近のしょーちゃんは近くにいると、必ず
オレのどこかに触れる。
いまも…
ソファに座ってテレビを観ているオレの隣
で、仕事の資料を読んでいるしょーちゃん。
右手に資料、左手はオレの肩にまわして、
髪の毛を指でクルクル触っている。
だから近いんだって。
キュンキュンなんだってば。
番組が終わったところで、
「 雅紀、そろそろ寝よっか 」
そう言うから…
「 しょーちゃん、オレ今日からしばらく
自分の部屋で寝ようかな 」
「 …なんで? 」
しょーちゃん、目がこえーよ!
こんなとこで帝王感だすなよ。
「 えっと…
ちょっと疲れ気味だからイビキとかかく
としょーちゃんに悪いし…なんて 」
「 ふぅん? 」
超不機嫌そう。
ヤバい…こえー。
目がおよぐ。
「 まぁ…雅紀が気にするならいいよ? 」
「 うん!じゃあね!おやすみっ 」
しょーちゃんのほっぺにチュッとキスをし
て、自分の部屋へダッシュした。