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雅紀を抱いた翌朝 . . .


カーテンの隙間から溢れる朝日を受けた姿が

愛おしくて額にキスをした。


その日からだ。

" Lucky Man " の仕事中に雅紀の顔が浮かぶ

ようになって、以前のようにお客様を完璧に

エスコートすることができなくなった。


「 智くん、" Lucky Man " のキャストを引退

    したい 」


「 相葉ちゃんから何か言われたか? 」


「 違う、雅紀はそんなこと言わない

    オレの問題なんだ 」


「 ふふっ

    それだけ相葉ちゃんに本気ってことか 」


「 ごめん 」


「 謝ることじゃない

    翔くんが設立当初からがんばってくれたお

    かげで会社が大きくなった

    感謝しかないよ 」


「 智くん… 」


「 これからはキャストの育成と" Sunshine "

    の方を頼むな 」


「 もちろん 」


「 それにしても仕事第一の翔くんがねぇ

    恋は人を変えるもんだな 」


「 自分でも驚いてるよ 」


社長の了承を得た後、お世話になったお客様

へ挨拶をしてから " Lucky Man " のキャスト

一覧の名前を消した。


お客様を笑顔にするこの仕事が好きだったか

ら若干の寂しさはあるが後悔はない。


心配なのは潤が涙ぐんで猛反対したことだ。

これからはアイツが No. 1 になるんだからが

んばってもらいたい。





仕事を終えて帰ろうとすると雅紀からLINEが

入った。


『 しょーちゃん、話したいことがあります

    これから会えませんか? 』


改まってどうしたんだ?

だが、オレもキャストを引退することを伝え

たかったからちょうどいい。


1時間後に雅紀の家へ行くと返信した。