ライフハック(lifehack)とは、「生命」や「生活」を意味する「life」と、「(プログラム)を改造する」、「(コンピュータに)不法侵入する」ことを意味する「hack」とを組み合わせた造語で、仕事や日常生活で役立つちょっとしたアイデアやテクニックのことを表します。
今回は、私が整形外科外来で患者さんにお勧めしている“メディカル・ハック”をご紹介します。
① 良い姿勢で生活する:整形外科疾患原因トップ3の一つ目は“不良姿勢”です。人間の身体の基本設計は良姿勢がベースとなっています。よって不良姿勢は各関節や筋肉に負担をかけ、いろいろなトラブルを引き起こします。腹筋や背筋は、姿勢を正し歩くだけでも鍛えることが出来ます。
② 運動習慣を身に着ける:整形外科疾患原因トップ3の二つ目は“運動不足”です。週2回の汗をかく程度の運動がベストですが、なかなか時間が取れない方が多いと思います。その場合は普段の生活の中で歩くことを意識することが大事です。具体例は下記の通りです。
・ 職場に歩いていく、遠回りをしていく、駐車場を敢えて遠くにする、階段を利用する
・ 運動競技種目、年齢、プレースタイルは個人個人異なるので、try and errorで運動強度、頻度、プレースタイルを調整しましょう。
③ 同一姿勢、作業はしない:整形外科疾患原因トップ3の三つ目は、“繰り返し動作”です。脊椎や関節は同じ作業を繰り返すと不具合が生じやすいことをしっかり認識しましょう。具体例は下記の通りです。
・ 農作業、庭作業で腰が痛い→作業中は小まめに休憩し、いろいろな仕事を織り交ぜる
(図1)。
・ 草刈り機作業→草刈りの進行方向を変える
(図2)。
・ 鍬は肩ぐらいまで持ち上げ重さを利用し土に刃先を入れた後(図3a)、後退しながら手前に引く(図3b)と腰痛の原因となりますから、手で前方に押して鍬を起こしましょう(図3c )。
・ 重量物の移動は引かずに(図4a )、押しましょう(図4b )。
・ 側弯症の場合、片側の関節や筋肉が痛くなるので、作業時に身体の向きを変え休憩を多くとりましょう。
・ へバーデン・ブシャール結節:作業時、痛む関節をテーピングで軽く固定し、作業はいろいろ織り交ぜて行いましょう。
④ ちょっとした怪我は自分で対処しよう:昔はちょっとした切り傷は「唾をつけたら治る」と言われていました。具体例は下記の通りです。
・ 擦り傷は、キズパットの使用は控えましょう。カットバンは傷に密着させず(図5a)、傷部分を浮かして貼りましょう(図5b)。またカットバンを剥がす際は水で濡らし、傷は石鹸で優しく洗い、浸出液が出る間はカットバンをたびたび貼り直し、創を乾かす方向に誘導しましょう。ドロッとした浸出液(クリーム状)は膿なので、その際はドクターに相談しましょう。
・ 小切り傷:1㎝以内の傷で、口が開いている場合は、カットバンを利用してテンションをかけましょう(図6)。
・ 病院で縫合した傷:処置後2-3日経ち出血や浸出液が無ければ、石鹸で優しく洗い、乾燥させてカットバンで保護しましょう。頭の傷なら、カットバンは不要です。
・ 擦り傷や切り傷に、オロナイン軟膏などは塗らないようにしましょう。石鹸で優しく洗い水道水で流すほうがより清潔ですし、創はなるべく乾燥させることが肝要です。
⑤ 肩こりや腰痛:叩いたり揉んだりすると軽快する肩こりと腰痛は、筋肉由来です。よって良姿勢、根詰めた作業をしない、保温、軽運動、ストレッチを行いましょう。
・ 頸部痛で寝れない場合は、枕を替えるのではなくバスタオルで高さを調整しましょう。
・ デスク仕事が続く場合は、無理に用事を作ってデスクから離れ歩きましょう。
・ 自動車運転時の腰痛は、腰にクッションを当て、1時間ごとに車外で腰痛体操をしましょう(図7)。
⑥ 靴底外側がすり減る→靴中敷き中央で切断し、外側を挿入すると変形性膝関節症予防になります(図8)。
次回は、「正直整形外科の子育て」です。
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