* 月とうさぎ *

ある日、サル・キツネ・ウサギの3匹が、山の中で力尽きて倒れている老人に出逢いました。3匹はなんとか老人を助けようと考えます。



サルは得意の木登りで木の実を集め、キツネは素早い足で川から魚を捕り、それぞれを老人に食料として差し出しました。しかしウサギだけは、どんなに頑張っても何もとってくることができませんでした。



何とか老人を助けたいと考えたウサギは、自らの身を食料として捧げるべく、火の中へ飛び込みました。



倒れこんでいた老人は、帝釈天でした。ウサギの善良で慈悲深い行いを後世まで伝えるため、帝釈天はウサギを月へと昇らせたのでした。



インドに伝わる『ジャータカ』などの仏教説話にある“月と兎の伝説”は、日本に渡来し『今昔物語集』などにも収録され多く語られています。この「月のウサギ」のお話は、“慈悲”の象徴として人々の心に響き受け入れられました。

また、餅つきは日本のオリジナルのようで、「うさぎが老人のために餅つきをしている」とか「うさぎが食べ物に困らないように」という説がありますが、中秋の名月が豊穣祝いであることを考えると、たくさんのお米がとれたことに感謝する意が込められているようです。

月は地球に対していつも同じ面を向けて回っているので、世界中どこで見ても、ほぼ同じ表面を見ています。しかし、月の模様がうさぎに見えるのは万国共通ではなく、月の模様をどう捉えるかは国によって様々です。
韓国や中国では、日本同様うさぎに見えるそうですが、中国のうさぎはお餅をついているのではなく、薬草を挽いています。また、中国の中でも、うさぎではなく大きなはさみをもった「カニ」という地域もあります。
モンゴルでは「犬」、アラビアでは「吠えるライオン」、欧米では「女性の横顔」、インドネシアでは「編物をしている女の人」、ベトナムでは「木の下で休む男の人」、オーストリアでは「男性が灯りを点けたり消したりしている」、他にも、「インディアン」「本を読む老人」「怪物」「ワニ」「ロバ」など、様々です。




整形外科医が考える教訓

 同じ“月”の模様にもかかわらず、国や地域、文化、宗教によって異なるものが想像されるように、同じ痛みや症状を見ても、ある医師は〇〇〇、ある医師は✕✕✕、ある医師は△△△と診断と治療が異なる事があります。これはどちらが間違いというよりも、その医師の経験値、思考パターンによると思います。

 一般的な風邪のように、人間には「特別な治療をしなくても自然に症状を落ち着かせる能力」が備わっています。同様に、整形外科疾患の多くも治療無しで3か月もすれば症状は一旦良くなります。しかし、その3か月の間にいろいろな薬を飲んだり、シップを貼ったり、痛み止めを飲んだり、電気治療をしたり、CMのサプリメントを頼んで飲んだりすると、いかにもその行為が症状を良くしたと思わせます。

 

本来の医療は、シップ、痛み止め、電気治療などはせず、日常生活で注意すべきこと避けるべきこと、症状が軽快する時期、悪化時の対応が説明されるべきです。


 お月様を見上げウサギが餅をつく姿を見た時、他国の人たちは違う模様を思い浮かべていることを想像してください。あなたが当たり前に思っていることは、意外に、当たり前ではないのかもしれません。