腰椎すべり症は大別して、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類に分けられます。

変性すべり症は加齢に伴って椎間板や椎間関節が変性し、腰椎が正常な位置からずれることで生じます(図2)。一方、分離すべり症は若年期の運動負荷によっておこる腰椎の疲労骨折が原因と考えられ、その後、変性すべり症と同様に腰椎が正常な位置からずれて生じます(図1)。

 これらのすべり症は、様々な症状を引き起こすきっかけとなります(図3)。脊柱管内の椎間板や靭帯が歪めば、腰部脊柱管狭窄症となります。また変性した椎間板が不安定に動くと、腰椎不安定症を生じます。また後方の椎間関節の軟骨がすり減ると、椎間関節痛が生じます。上下椎体がずれ神経孔が狭まると、腰神経が刺激されて坐骨神経痛が発症します。

 過去ブログ(腰痛のトリビア:腰部脊柱管狭窄症、腰椎不安定症、腰椎椎間関節症、腰椎椎間板ヘルニア)で解説してきたように、下肢運動麻痺や膀胱直腸障害、強い間欠性跛行で日常生活に支障が出れば手術を検討すべきです。しかしすべり症の場合は、金属で固定する方法が主流ですから、身体にそこそこの侵襲があるので、手術法について執刀医に説明してもらい充分納得することが必要です。決して安易に手術をしないことをお勧めします。




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整形外科医を分類すると、

大学病院→地域基幹病院→中小一般病院→整形外科クリニック となります。

大学病院の専門性が一番高く、一方クリニックは専門性は低いものの相談しやすく、軽い怪我などにも対応してくれます。これを受験で説明すると、

大手予備校→大手学習塾→地域中堅学習塾→個人学習塾→家庭教師 となります。大手予備校講師の専門性が一番高く、家庭教師は全般的教育指導で、学校の悩み事やちょっとした質問にも答えてくれます。

幼稚園や小学校受験などで大手予備校に通うことはなく、逆に大学受験で個人学習塾に通うこともないでしょう。同様に、大学病院の専門性の高いい先生に専門外の相談をすることは、限られた医療資源の無駄遣いとなります。ハエを大砲で打つことにならないよう、各人がセルフメディケーションの理念を持ち、しっかり知識を付けることが大切だと思います。

そこで私はといえば、様々な活動を通じて小中学生に規則正しい生活や運動習慣、お手伝いの重要性、期限内の課題提出について指導し、日常生活において勉強の重要性を伝える個人学習塾講師でしょうか

次回は正直整形外科「腰痛のトリビア:学会でのトピックス」です。