東京都現代美術館。

約1年ぶりの訪問。

MOT アニュアル2023は、若手アーティストを中心に想像力や手仕事による「創造」と、近年、注目を集めているNFTや人工知能、人工生命、生命科学を反映する自動的に生まれる「生成」のあいだを考察している展覧会である。

 

この展覧会は、とっつきやすく、面白い作品ばかりであった。

小学生でNFTアート界で話題を集めているアーティストの新作もあった。

また、5人のアーティストコレクティブの《四角が行く》という作品は、四角い3つの箱が移動していくのだが、ずっと見ていても飽きなかった。

 

そして、わたしが特に気に入った作品は、市原えつこ氏の《ディストピアの美食》であった。

この作品は、資源が枯渇した最悪な時代の食事を自作して展示、そして、それを食すところをビデオ作品にしたもの。

以前にディストピアをテーマにしたグループ展に参加したことがあった。

他の参加者はディストピア世界での監視行動を元に作品を制作していたが、わたしは、ディストピア世界で咲く植物をイメージして制作した。

そんなこともあり、彼女の作品にとても惹かれた。

 

何年か先の未来、食べられる食材は少なるだろう。

展示してあった食事のレプリカは、藁であったり、クローン人間の骨であったり、寄生虫ナポリタンだったりする。

そして、食卓に必須なのは、食後の胃腸薬なのである。

食品サンプルだけでなく、アーティスト本人が実際に食べているビデオ作品もあり、そのブースはとても楽しいと思った。

 

この作品では、ヤギ教団への入信も勧誘している。

壁に貼られたポスターには「一家に一ヤギ。財産はヤギで持て。紙幣はすぐに紙くず」と書かれていた。

入信する人は腕にスタンプを押す。

そのスタンプはブラックライトでしか見ることができない。

おもしろいと思う。

 

市原えつこ氏の作品は、未来をイメージし、そしてわたしたちに問いかけをしている。

市原えつこ氏の他の作品は観ていないと思うが、少し調べてみようと思う。

 

そして、反省をこめて思う。

制作をしているなら、展覧会に極力足を運ぶべきだと。

夏までに足を運びたい展覧会がいくつかある。

必ず足を運ぶと、ここで宣言したい。