国立新美術館での「テート美術館|YBA &BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展。
久しぶりの国立新美術館であったが、この展覧会はおすすめである。
1980年代後半から2000年代初頭に制作された英国のアートをフォーカスしている。
サッチャー政権後の社会的混乱の中で、既存の枠組みを打ち破り、新しい表現を求めたYBA、つまり、ヤング・ブリティッシュ・アーティストによる作品の展示である。
出品作家は、著名なアーティストばかり。
ダミアン・ハースト、ジュリアン・オピー、ジェレミー・デラー、スティーブ・マックイーン、ヴォルフガング・ティルマンスなど。
性的表現を含むアートも多く展示されていた。
購入した展覧会図録で、ロンドンのゴールドスミス・カレッジで学んだアーティストが多いと知った。
ここ5年ぐらいの間に、たまたまなのだろうが、ゴールドスミス・カレッジで学んだという日本人の女性アーティストに2人出会っている。
彼女らは今は日本で活動している。
どの作品も見応えがあり、キャプションを読んで作品を見ていくと、かなりの時間を要する。
心に残った作品は多かったが、その中で2点ほど、紹介したい。
まず、ディノス・チャップマンとジェイク・チャップマンの《戦争の惨禍》である。
約10cm〜15cmの楕円の形の上にミニチュアの人物、他がのせられている。
この作品は、画家フランシスコ・ゴヤの版画画集『戦争の惨禍』を立体的に再構築したものである。
よく見ると、殴りあっている人や、ナイフを突きつけている人、鉄砲を構えている人などがいる。
この作品、もっと大きくてもいいじゃないかえと思うけど、ミニチュアだからこそ、鑑賞者は目を凝らして作品を見るのだと思う。
とても手の込んだ作品だと思った。
そして、第4章の「現代医学」というセクションに展示してあった作品について。
1990年代、さまざまアーティストたちが解剖学、疫病、メンタルヘルス、法医学などをテーマにしてきた。
このセクションは印象深い作品が多かった。(エイズをテーマにした作品など)
その中で、やや地味と思われるキャッシー・ド・モンショーの《消す》という作品。
彼女は対照的な素材を組みあわせる作品を多く作っているようだ。
この作品は、布とボルトを使って、男性と女性を表現している。
とても小さい作品だけど、印象深かった。
おまけでもう一つ。
出口近くに展示されていた一枚のレシート。
シール・フロイヤーの《モノクロームのレシート(白)》という作品。
この作品は、指示書があるようで、各展覧会場の近くで買い物されたレシートが展示されるようである。
今回は、六本木六丁目のファミマで買い物したレシートが貼られていた。
買い物の中身は、全て(白)を含む。
紙コップ、雑巾、カルピス、うどん、塩おむすび、マスク、木綿豆腐などである。
この作品は、(赤)、(緑)、(青)と置き換えは可能だろうか?
「テート美術館」展は、作品が作られた時代背景を知るともっと楽しめるのではないだろうか。
二度行きたいと思う展覧会はそうないけど、この展覧会はもう一度行きたいと思う。
ブラック・オーディオ・フィルム・コレクティブの61分の映像作品は見なかったが、とても気になっている。