――2013年の外国為替市場の全体感は?
中長期的に円安が続くとみるのが、自然の流れだろう。日本は貿易収支の赤字が定着してきた。また、日本企業による海外企業M&Aの需要も高まっているため、日本円の売り手の方が買い手よりも多い状態であり、需給面でも円安という時代になってきた。また、当社でFX取引をされている投資家の70%が、ドル円については米ドルのロングポジション(ドル買い・円売り)をとっています。市場参加者の多くも、円安に見ていることのひとつの裏づけになります。
日本では、総選挙の結果、自民党の安倍政権誕生が決定し、日銀に対する円安圧力が強まりそうな気配です。また、金融緩和に積極的な日銀総裁を就任させようとするでしょう。一方、アメリカはFRBバーナンキ議長が、オープンエンド型の緩和策を表明しています。欧州も無制限の国債買い入れを決め、かつ、利下げの検討もしています。このように、日米欧の3極通貨は揃って金融緩和で、金融緩和合戦の様相にあります。このような中で、リスク許容度が高まりやすい環境になってきたといえます。
2012年は、アメリカの景気が年の半ばで失速し、ヨーロッパの債務問題が深刻に論じられ、中国の景気も先行きに懸念が持たれるような状況となり、「リスクオフ」に傾きやすい市場環境でした。これが2013年は、世界的に景気の回復基調となり、不安材料の懸念払拭というムードになっていくと考えています。
――ドル円の見通しは?
基調は円安だと思います。貿易赤字の問題や、日本の金融緩和期待など円が売られる材料が重なってきているので、円は緩やかに売られるだろうと思います。
一方、円に売られる理由があっても、ドルに買われる理由がないと、もう一段の上昇にはつながりませんが、年後半にはドル買い材料が出て、米ドルの上昇が加速すると考えています。
12月のFOMCで、金融緩和を打ち止めする条件として、失業率の目標が出てきました。アメリカは、失業率が6.5%に到達しない限り、金融緩和を続けるといっているのですが、最新の雇用統計が7.7%なので、金融緩和の打ち止めには、ここから1.2%低下する必要があります。FRBは2015年半ば頃までゼロ金利政策を継続するといっているので、その頃に失業率が6.5%程度に低下するとみているのでしょう。
ただ、過去2年間、米国の失業率は年間1%程度改善しているのです。2011年11月から2012年11月までで1%改善しました。また、その前も1%下がっているのです。このペースで改善が続くのであれば、2013年後半には6%台の失業率が見えてきます。そうなると、6.5%というゼロ金利解除の水準も近づき、アメリカの金利に上昇期待が高まります。これが、ドルの買い材料になってくるとみています。
――ユーロの見通しは?
ユーロは、2012年9月にECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、債務危機に瀕したユーロ加盟国の国債を無制限に買い入れると表明した結果、ユーロのセーフティネットはできました。この安全性が否定されない限りは、ユーロの急落はないと思います。ただし、欧州の景気状況は厳しく、来年中の回復は期待しにくいと思います。景気の悪い国は、債務危機に瀕しているので、財政出動を伴わないで景気回復を求められている状況だからです。
このような欧州経済の実体を受けて、円を売ってユーロを買おうというインセンティブが働きにくいと思います。年前半は、どちらかといえば、円売りの方が勢いあるような動きになるのではないでしょうか。そして、年後半はドル高が進みやすいと思います。
――そのような中で、注目できる通貨は?
豪ドルだと思います。日米欧の金融緩和が進む中で、相対的に金利が高い豪ドルにお金が流れやすい環境です。財政的にもAAA維持している数少ない通貨ですから、安心感があります。2013年は、「リスクオン」で豪ドルが買われるような場面が目に付く相場になりそうです。
そもそも。豪ドルと円は、性格的に対極にある通貨といえます。リスクオンの時には円が売られて豪ドルが買われる。反対に、リスクオフの時には円が買われて豪ドルが売られる展開になってきました。したがって、豪ドル円は、ボラティリティが大きくなりがちです。2013年は、世界的にリスクオンの動きになるでしょう。後半は、米ドルよりも豪ドルの方が値上がりしやすいと見ています。1豪ドル=100円を超えるような高値も期待できると思っています。来年は、「豪ドル人気復活の年」になるでしょう。(編集担当:徳永浩)
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