朝から、空は低く垂れ込めている。
光はあるのに、輪郭がぼやけていて、何かを始める合図みたいなものは、どこにもない。
窓に近づくと、曇ったガラスに自分が映っていた。はっきりしない表情。笑っているとも、沈んでいるとも言えない顔。
拭えば、もう少し見えるのかもしれない。でも今日は、そのままにしておく。
曇天の重みは、押しつぶすためというより、動かなくていい理由を与えてくれているみたいだ。
心の影も同じ。追い払おうとしなければ、そこにあるだけで、静かに落ち着いていく。
何かを決めなくてもいい。前向きにならなくてもいい。
曇ったガラス越しに見る世界は、少し遠くて、少し優しい。今日はただ、影を見つめている。