発熱の後の身体は、思ったより正直だった。

熱は下がったのに、関節の奥がピキピキと鳴って、
まだ無理をするな、と静かに訴えてくる。


動ける気もする。

でも、動いてはいけない気もする。
その曖昧さの中で、私は少しだけ立ち止まった。


心の空模様は、どどめ色。
晴れでも雨でもなく、
深く沈んだ赤紫が、胸の奥に溜まっている。

理由は分かっているようで、
言葉にすると崩れてしまいそうで、
今日もそのままにしていた。


「大丈夫」
そう言ってきた回数だけ、
自分のココロをギュッと縛ってきた気がする。

弱さがこぼれないように、
誰にも迷惑をかけないように。


でも、身体はもう知っていた。
限界を超える前の、あの重さを。


そんな時は、人に頼っていい。
人に甘えていい。

それは逃げでも、負けでもなくて、
手綱を緩めるという選択。


ずっと張り詰めていた指先を、
そっと開くみたいに。

力を抜いた分だけ、
呼吸が深くなるのを感じる。

今日は、前に進まなくてもいい。
整わなくてもいい。

ただ、ここにいる自分を許す日。

気づかないふりは、もう終わり。
静かに、手綱を緩める時が来た。