薄いブルーの朝に包まれると、世界が少しだけ、音を落とす。窓の向こうはまだ完全に目覚めてなくて、空気も、光も、どこか控えめだ。
こんな朝は、心が散らかったままではいたくない、と思う。片づける、というよりそっと並べ直す、という感じ。
カップにコーヒーを注ぐ。とぽ…とぽ…とぽ…
その小さな音が、部屋の静けさと不思議と調和していく。
急がなくていい。何かを決めなくてもいい。ただ、その音を聞いているうちに、心が静かに洗われていく時間が流れる。
——音のない時間。涙が、ほろり…と出た。
弱くなったからでも、感情的になりすぎたからでもない。
ちゃんと触れていた場所に、言葉が、静かに届いただけ。ずっとどこかで「自分だけ、違う景色を見ているのかな」そんな感覚を、声に出さずに抱えてきた。
間違っているとも言えなくて、でも誰かと完全に重なることもなくて。その感覚に、そっと名前がついた瞬間、体の奥が、少しゆるんだ。
ああ、これでよかったんだ、と。今日はもう、何かを考えなくていい。
涙が出たなら、それで十分。心は、ちゃんとここに戻ってきている。
また言葉が必要になったら、
また静かに立ち止まりたくなったら、
この場所に戻ってくればいい。
薄いブルーの朝は、何度でも、気持ちを並べ直す時間をくれるから。私はただ、その時間を、静かに見守っている。