Little Friends -213ページ目

温泉嫌いの温泉旅行④~湯の川温泉Ⅱ

(続き)夕食は予想通り格別ではなかったが、普通においしく食べられた。おかげでラーメン屋には行かずにすんだ。むしろ、この値段で部屋まで食事を運んでくれる方が特筆ものだろう。


食器を下げに来た係の人に、布団は自分で敷くからと断り、テレビを点けたまま照明を消し、まだ夜8時前というのにさっさと布団に入った。


寝るわけでもなく、テレビを見ているわけでもなく、呆然としながらすごす。いつの間にか寝入っていたが、夜中に目を覚まし、もう一度大浴場に行った。今度は誰もいなかった。


モーニングコールでたたき起され、お茶を飲みながら茫然とする。全然寝た気がしなかったけど、それはこの日に始まったことではない。


朝食も部屋食。こちらも格別なものではないけど、食欲もないから別に不満にも思わない。でも、この値段で函館名物のイカ刺しもついたし、何よりこのようなきちんとした朝食は久しぶりで少しうれしかった。


朝食をすませ、身支度を調えてさっさとチェックアウトした。


市電で函館駅に向う。今日は福島へ行く。特に急ぐ道中でもないのだが、いつもなら必ず町歩きをする函館の町は完全に素通り。これじゃまるで逃避行だ。(続く)

温泉嫌いの温泉旅行③~湯の川温泉Ⅰ

(続き)今日の宿は函館湯の川温泉の「万惣ホテル」。確か1泊2食付で7千円弱、多くは期待できない値段だけど、24時間入浴可と部屋食という条件が魅力だった。


1人旅でこういう所に泊ると、食事の内容より、大広間や食堂でグループ客に囲まれながら1人でぽつんと食事をするのが一番憂鬱だ。


この値段で部屋食というのは、ロクなものが出てこない可能性は高いが、その時は外のラーメン屋にでも行けばいい。


チェックインとほぼ同時に着いたので、まずは風呂へ。空いているかと思ったら、けっこう混んでいて落ち着かなかった。一応、大浴場のほか露天風呂もあった。


風呂から上がり、部屋の窓を開けて涼む。と言っても、3月の函館だからまだ冬だ。


汗がひいたので窓を閉め、テレビを見ながらウトウトする。普通なら、ホテルの中を探検したりするのだろうが、この時の僕はとにかく人と会いたくなかったし、何もしたくなかった。


愛知にいた時の僕とは別人のようだけど、それだけ疲れはて病んでいたのだろう。


夕食を持ってきた係の人の声で目が覚めた。高級旅館のように世話をしてくれるワケではないけど、この時はその方がありがたかった。(続く)

温泉嫌いの温泉旅行②~出発

(続き)いつも使っている楽天トラベルのWeb予約で3ヶ所を予約、鎌倉に温泉はないけど、昔住んでいた頃から気になっていた宿を調べて直接電話で予約した。


ついで、札幌駅に行ってきっぷを購入。帰りの「北斗星」は、運良く個室A寝台「ロイヤル」が取れた。


初日に向ったのは函館。いつもは独立3列席の高速バスが好きなのだが、この時はJRの周遊きっぷを使っていたので、特急「スーパー北斗」に乗った。


いつもなら、旅立ちの際の高揚感があるはずだが、この時はそんな気持ちにはなれず、発車と同時に僕は目を閉じた。


「スーパー北斗」は、海あり山ありの風光明媚なルートを走るけど、僕はずっと眠っていた。休職して数日がすぎ、体は休めているはずなのに、とにかく目を開けていられなかった。


かと言って熟睡するでもなく、こんな状態がもう半年以上続いていた。


仕事以外での遠出は久しぶりなのに、この時の僕は足取りも重く、顔色も悪く、車内でも物憂い気持ちでいっぱいだった。


函館に着き、普段ならさっそく町に飛び出してお気に入りの洋食屋や喫茶店をめざす僕が、そのまま駅前から市電に乗り、今日の目的地湯の川温泉に直行した。(続く)