12月19日(金)、新国立劇場中劇場て、『焼肉ドラゴン』を見ました。
鄭義信の作・演出。
2008年の初演を見て、2018年公開の映画(監督・脚本は、鄭義信)を見て、どちらも、心に残る作品だったので、その後の舞台の再演は見ませんでした。
しかし、今回、新国立劇場中劇場公演が『ラストステージ』とのことで、中劇場での演出も見たくて、出かけました。
中劇場公演、12月19日(金)から21日(日)までの、4公演。
『焼肉』は、新鮮でした。肉厚で、歯ごたえもしっかりとしていて。
心は、満腹感で満たされました。
1970年の大阪万国博覧会。
日本中が、お祭り騒ぎに熱狂し。
関西のある町が舞台。
敗戦後のどさくさのなかで、市の公有地にバラックで家を作り、そこで『焼肉ドラゴン』を開店させた金龍吉。
戦争で、左腕を失い。
先妻との間のふたりの娘、静花と梨花。
再婚同士で結婚した高英順。彼女の連れ子の美花。
ふたりの間に生まれた時生。
この家族の物語。
そこには、『在日』としての戦前があり、戦中があり、戦後があり。
そして、1970年。
さらに、物語は、この先、彼らのたどるであろう困難な道を伝えて。
物語は、終わらず。
今回、小劇場から、中劇場になったことで、空間のひろがりが生まれ、登場人物たちのエネルギー放出量が倍加。
もともと、日本と韓国の俳優がともに舞台に立ち。
日本語と韓国語が入り乱れ。
エネルギーが充満していましたが。
多くの人びとに見てほしい舞台。
しかし、ラストステージ。
ただ、鄭義信監督・脚本の映画があるので。
で、物語の展開は、隠しておきます。






高度成長期の日本 可笑しくも哀しい家族の絆の物語 4度目の上演!
2025年、日韓国交正常化60周年を迎えることを記念し、鄭 義信が日本の戦後史の影を描いた日韓合同公演『焼肉ドラゴン』を上演いたします。
本作は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として、鄭 義信に書き下ろしを依頼し制作されました。2002年、2005年上演の『その河をこえて、五月』(平田オリザ・金 明和 作/李 炳焄・平田オリザ 演出)に続く、同劇場との2度目のコラボレーション企画となります。
1970年前後、高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市。そこで慎ましくも懸命 に生きる在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉店「焼肉ドラゴン」に集う人々の人間 模様を、生き生きと描き出した本作。2008年の初演では、開幕直後から口コミで大き な評判を呼び、東京・ソウル公演では連日スタンディングオベーションを巻き起こす など、観客から熱狂的な支持を受けました。その年の日韓両国で数々の演劇賞を受賞 し、2018年には鄭 義信自身がメガホンを取り映画化もされました。
日韓の過去、現在、そして未来を、音楽を交えながら、おかしくも哀しく切なく描く この物語が、2008年、2011年、2016年に続き、2025年に4度目の上演を果たします。 今回の上演では、まず10月に新国立劇場 小劇場から幕を開けます。その後、11月に芸 術の殿堂での韓国公演、そして福岡、富山での全国公演を経て、12月には満を持して 新国立劇場へ凱旋します。しかも、凱旋公演の会場は、なんと中劇場!初演から17年 を経て、新たな歴史を刻みます。
1970年の大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」── 55年前、未来へと託されたこの 願いは、果たして今、実現したといえるのでしょうか? 奇しくも2025年は大阪・関西 万博開催の年でもあります。鄭 義信が掲げる「記録する演劇」としての『焼肉ドラゴ ン』が、この作品を通して、過去と真摯に向き合い、来るべき未来を見つめていく機 会となることを願っています。どうぞご期待ください。
協力:芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)
後援:駐日韓国大使館 韓国文化院