8月3日(月)、文楽サマーフェスティバル。18時開演。
最初の演目は、『寿柱立万歳』。
常磐津節の『乗合船恵方万歳』の一節を義太夫節に移したもの。
『柱立』。家を建てる時に、初めて柱を建てる儀式。
それを祝い。
三河万歳の太夫と才三が、家の繁栄を祈って歌い舞い踊り。
太夫、睦太夫
才三、小住太夫
などなど。
人形役割
太夫 玉誉
才三 玉翔
次の演目が、新作。
『まちの灯』
チャールズ・チャップリンの原作『街の灯』より。
大野裕之、脚本・演出。
豊竹若太夫、補綴。
鶴澤友之助、作曲。
桐竹勘十郎、人形監修。
望月太明藏、作調。
時は、幕末。大坂茶屋町の大仏開眼供養。
多くの人びとの見守るなか、幕がはらわれると、
そこにいたのが、風来坊の与次郎。
与次郎は、一目散に逃げ出して。
天神橋まで逃げて来た与次郎。
花売り娘のお花に声をかけられ。
その美しさにのぼせて、花を買おうと。
お花の手から花が落ち。お花は、それを、手探りで探して。
与次郎は、お花の目が不自由なことに気づき。
大店の旦那が駕籠を呼んだのにあわせ、与次郎は、こっそりとその場を去り。
与次郎は、お花の眼病を治療するためには、30両が必要であると知り。
法善寺での賭け相撲に。
映画『街の灯』では、抱腹絶倒のボクシングシーン。
それでも、いろいろあって、100両を手に入れて、お花に。
やがて、明治の世。
壺阪の医者に通い、お花の眼病は完治。
新しく開いた花屋も繁盛。
そこに、みすぼらしい姿の与次郎が。
で、
「この人はとお花は不審ながらも与次郎の手を取り握ったその刹那、この手この指、この温もりに、お花の心の目が開く
『さ、さ、さてこそあなたは』
あふるる思いに声震え、心あまりて詞にならず、うち震い
『お花さん、見えるようになりましたか』
『ハイ、今やっと、今やっと見えるようになりました』
浮世に咲くやこの花のまなこに灯がともる。お花がために与次郎の身をつくしたる大坂の涙と笑いの物語。人の心の優しさと哀しみ愚かさ映してぞ変わらず今日も輝けるまちの灯りぞ、まちの灯りぞ、美しき、美しき」
(プログラムの中にある床本から)
人形浄瑠璃は、人間の『情』を描きます。
そして、人間の哀愁も。
それが、三味線により。
見事に、ひとつの『世界』を。
堪能しました。
詞章もわかりやすく。
物語が身近に。
原作の展開を、ただなぞるのではなく、その『世界』に、しっかりと登場人物たちが生きていて。
文楽劇場、多くの観客が。
これほどの観客、稀。
序 茶屋町大仏開眼供養の段
希太夫、清公
二段目 天神橋出会いの段
三段目 道修町大文字屋の段
与次郎・お花 希太夫
勘右衛門・藤八 亘太夫
清公、燕二郎
四段目 天神橋再会の段
亘太夫、燕二郎
五段目 法善寺相撲の段
六段目 大文字屋盗人騒動の段
大詰 天神橋まちの灯の段
切 若太夫、友之助
人形役割
与次郎、桐竹勘十郎
お花、吉田勘彌
柳屋久兵衛、吉田玉佳
吉田勘右衛門、吉田簑二郎
その他
それにしても、
この後、お花と、与次郎は、どうなるのでしょうか?
この『街の灯』を原作として、歌舞伎にも、
『蝙蝠の安さん』があります。
初演は、1931年8月の歌舞伎座。
木村錦花の脚色。
13代目守田勘弥により。
映画『街の灯』の日本公開は、1934年。
それよりも早いのです。
アメリカでの公開は、1931年。
15代目市村羽左衛門が、海外で見て、木村錦花がその話を聞いて。
主人公は、蝙蝠安。
『与話情浮名横櫛(よわなさけ うきなのよこぐし)』の登場人物。
2019年12月に、国立劇場で、松本幸四郎により、復活上演しています。


