3月14日(土)、『ジョン・クランコ バレエの革命児』を見ました。


久しぶりに、バレエを堪能しました。


監督・脚本は、ヨアヒム・A・ランク。


「地方バレエ団を世界トップレベルに押し上げた“シュツットガルト・バレエの奇跡”」(チラシ)


その振付家ジョン・クランコ(1927~1973)が、シュトゥットガルトを訪れるところから始まります。

「ロンドンの英国ロイヤル・バレエ団やサドラーズ・ウェルズ・バレエ団で振付を手掛け、マーガレット王女との親交も深めるなど新進気鋭の才能として活躍していたジョン・クランコだったが、警察のおとり捜査によって同性愛行為の罪で起訴された。1960年、ロンドンを追われたクランコは、つてを頼ってシュツットガルト・バレエ団で客演することになった。偏見なく自分を受け入れてくれるシュツットガルト・バレエ団に居場所をみつけたクランコは翌年の1961年に芸術監督に就任し、既存の常識にとらわれず、自由な発想で美と情熱を完璧に表現する作品とカンパニーを作り上げていく。」(チラシ)


1609年に創設されたヴェルテンブルク公の宮廷バレエからの伝統を持つ、シュツットガルト・バレエ団。

そこには、その伝統に培われた格式があり。

クランコとの間に生じる軋轢。

その軋轢を、強引に破壊していくクランコ。


自分に従わない者は去れ、と。


バレエのなかに、ドラマを見、そのなかを生きる人間を見、形を作るのではなく、心のなかからあふれるものを見つけ、表現しろ、と。

だから、バレエ団のなかに、ドイツ人が少ないとか、外国籍の者が中心になっているとかの不満の声を知ったクランコは、激怒する。

決められた練習時間が過ぎたので終わりにしてくださいと言われたクランコは、激怒する。


たとえば、マルシア・ハイデは、ブラジル出身。クランコが呼び寄せて、オーディションをおこない。厚化粧して、年齢も若くなく、周囲は反対。それをクランコが押しきって、コール・ド・バレエの一員から抜擢。

ハイデは、やがて、クランコ亡きあと、バレエ団の常任振付家となり(1976~1996)。


やがて、バレエ団の評価が高まり、自分たちのしていることに自信が生まれ、何よりも、踊ること、表現することの『喜び』を得て、団員たちはクランコを信頼しはじめ。


その一方で、クランコを襲う『孤独』感。

次々と相手を見つけるものの、心は満たされず。

その相手は、いずれもバレエには関心がなく。というよりも、知的ではなく。

クランコは、酒をあおり。

それにしても、彼の『孤独』は、どこから生まれて来るのか?

団員たちからの信頼を受け、指導者として愛され。

それでも、心の空虚さは埋められず。

南アフリカで生まれ育ち。子どもの頃、両親は離婚。その子どもの頃が回想するのされ。

黒人女性が虐待の果てに殺されるのを、目の前で見たり。


そうしたクランコを描き。

『オネーギン』や『ロミオとジュリエット』の作品を生み出していく過程を、しっかりと見せ。それがとてもおもしろく。そこには、作品の解釈があり。舞台への創造があり。


また、クランコの頭のなかに作られた世界が、街や、石畳の道や、公園や、そのベンチなどで、ダンサーたちにより再現され。その光のなかに浮かび上がる姿の美しさ。身体の見事さ。

そもそも、街自体が『芸術』。

そして、シュトゥットガルト州立歌劇場の豪華さ。


あらためて、日本の劇場建築を考えてしまいました。


実際のシュツットガルト・バレエ団が全面協力で、

フリーデマン・フォーゲルが、ハインツ・クラウスを演じ。

エリサ・バデネスが、マルシア・ハイデを演じ。

レイ・バーラを、ジェイソン・レイリーを演じ。

で、ラストは、クランコのお墓に、演じた者と、本人がペアになり、花を捧げ。


フリーデマン・フォーゲルは、この3月に、東京バレエ団に来ます。




『チラシ』から

ドイツ地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を一躍世界トップレベルに引き上げ、“シュツットガルト・バレエの奇跡”と言われた天才振付家ジョン・クランコ。代表作「オネーギン」はシュツットガルト・バレエ団ではもちろん、世界3大バレエ団の英国ロイヤル・バレエ団、パリ・オペラ座バレエ団など、世界中のカンパニーで現在も上演されている。その傑作の誕生秘話と、45歳という若さで非業の死を遂げたクランコの半生と素顔が、シュツットガルト・バレエ団花形ダンサーたちによる卓越したテクニックと表現力によって彩られ、描かれる。監督は長年にわたりシュツットガルト・バレエ団を取材で撮影し、信頼関係の深いヨアヒム・A・ラング。情熱と革新的な才能にあふれ、バレエと人々に愛されるも、時に芸術追求に純粋すぎるあまり他人を傷つけてしまう複雑さをあわせもつジョン・クランコを見事に演じたサム・ライリー。撮影はシュツットガルト・バレエ団の本拠地であるシュトゥットガルト州立歌劇場で行われ、音楽はシュトゥットガルト州立管弦楽団が演奏。美と音楽に酔いしれる珠玉のバレエ映画が完成した。ドイツ映画賞衣裳デザイン賞受賞の衣装や1960年代当時を再現したインテリアも見どころ。

※表記について・・・地名の表記は「シュトゥットガルト」、バレエ団の表記は「シュツットガル」とさせていただいております


「ロンドンの英国ロイヤル・バレエ団やサドラーズ・ウェルズ・バレエ団で振付を手掛け、マーガレット王女との親交も深めるなど新進気鋭の才能として活躍していたジョン・クランコだったが、警察のおとり捜査によって同性愛行為の罪で起訴された。1960年、ロンドンを追われたクランコは、つてを頼ってシュツットガルト・バレエ団で客演することになった。偏見なく自分を受け入れてくれるシュツットガルト・バレエ団に居場所をみつけたクランコは翌年の1961年に芸術監督に就任し、既存の常識にとらわれず、自由な発想で美と情熱を完璧に表現する作品とカンパニーを作り上げていく。斬新な振付の「ロミオとジュリエット」は評判を呼び、プーシキンの原作を基にしたドラマティックバレエの最高傑作のひとつ「オネーギン」は観客を魅了し夢中にさせた。1969年、バレエ団はニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招かれ、公演は大絶賛され、シュツットガルト・バレエ団は一夜にして世界の頂点へと駆け上がる。ソ連まで含む盛大な世界ツアーが行われ、まさに絶頂を極めるが、1973年6月26日、アメリカからの帰国する飛行機の中で悲劇が起きる。

東京バレエ団の公式サイトから。

2023年芸術選奨文部科学大臣賞受賞を機にスタートした〈上野水香オン・ステージ〉。
これまで、上野の代表作の一つでもあるベジャール振付『ボレロ』を中心に、東京バレエ団の仲間たちとともに多様な作品を通して、その魅力を余すことなく表現、常に期待以上の舞台で観客を熱狂させてきました。このたび、2023年・2024年と好評を博してきた“オン・ステージ”を再び上演いたします。
本公演で迎えるスペシャルなゲストは、シュツットガルト・バレエ団からフリーデマン・フォーゲル。上野とフォーゲルが2009年共演した『ジゼル』はDVD化されており、バレエファンの記憶に色濃く残っていることでしょう。以降もそれぞれのカンパニーの顔としてバレエシーンを牽引してきた二人が、17年ぶりに日本でタッグを組む舞台は必見です。また、東京バレエ団は3年ぶりの上演となる『パキータ』、2023年の海外公演でも現地メディアから絶賛を浴びた『ジゼル』などで公演を華やかに彩ります。
上野×フォーゲル×東京バレエ団による2026年版“オン・ステージ”にどうぞご期待ください!

※フリーデマン・フォーゲルは東京公演のみ出演いたします。


3月20、21、22日。