7月19日(金)、俳優座による『被爆樹巡礼』と、『犬やねこが消えた』を、俳優座スタジオで見ました。


「戦争とは…」Vol.30。

「戦後50年経った1995年に“戦争によって受けたさまざまな傷跡を振り返り、戦争とは一体何なのか?を考えて問い続けよう”という思いで」始められた「戦争とは…」。

「初代の構成・演出を務めた内田透が逝去したのち、意志を受け継いだ菅田華絵が担当して今年は10年という節目を迎え」。(プログラムから)


今回は、2つの原作をもとにして。


脚本を、原田一樹。

演出を、菅田華絵。


音楽は、石塚まみ。作曲・キーボード・歌。


最初の作品が、『犬やねこが消えた』。

「戦争で奪われた動物たちの物語」


ノンフィクション作家の井上こみちの作品、『犬の消えた日』『犬やねこが消えた』などをもとにして。


1986年に、金の星社から刊行された『犬の消えた日』。

頓田室子の絵。

その後、幻冬舎文庫にも。

この作品を読んだ時には、涙がとまりませんでした。


『犬やねこが消えた』は、2008年、学習研究社からの刊行。

ミヤハラヨウコの絵。

こちらは、読んではいません。


戦争中に犠牲となった動物たちの話。

上野動物園の象の話をはじめとして、多くの悲しく、そして、憤ろしい話は、知っていたのですが。

愛犬までもが『供出』を強いられて。

しかも、殺されて、防寒着に使われた、とは。


この『犬やねこが消えた』の舞台は、原作をそのまま活かして。


井上こみちさんが、出会った女性から、戦争中の、犬の供出の話を聞くところから始まり。

そして、犬だけではなく、猫も。

その戦争中の資料を捜し求めて。その残された、数少ない資料が、壁に映し出され。


福岡県鞍手郡小竹町にある『兵士・庶民の戦争資料館』から貸し出された、当時の、犬の毛を用いた外套という『本物』を使い。


『兵士・庶民の戦争資料館』は、武富家3代が、戦争というものを後世に残そうとしてはじめた、私設の資料館。

行ったことはないのですが。


人間のはじめた戦争。


『被爆樹巡礼』は、杉原梨江子さんの、著作。実業之日本社からの刊行です。


こちらは、「原爆から蘇ったヒロシマの木と証言者の記憶」                      


広島に暮らしていた人びと。そこに、あった日常生活。

それは、どこにでもある、誰にでもある生活。

それが、一発の原子爆弾によって。

人びとを襲った閃光。


語り手たちが、その日常生活を語り。原爆投下直後の惨状を語り。その多くの死を語り。


『戦争』が、この世界から消えておらず、今も、戦火の中に生きる人びとがいること、キーウを、ガザをあらためて思いました。


『兵士・庶民の戦争資料館』のサイトから

「3代にわたり従軍した武富家に残る遺品と、全国から寄せられた遺品を通して「本当の戦争の姿」を伝える、全国でもめずらしい私設の資料館が「兵士・庶民の戦争資料館」です。わずか約30平方メートルの館内に並べられた遺品の数々。その手触り、重さ、硬さ。実際に触れてみてはじめて辿れる戦争の記憶と、物が静かに語り継ぐ平和への願いとは――」











岩崎加根子さんと、中村たつさんの入団が、1952年。
阿部百合子さんが、1957年。
そのことにも、感動しました。