映画のチラシを、大量整理し、ごくごく一部を除いて、手放した、というか、廃棄しました。


ただ、その整理のなかで、ついつい見入ってしまい。


例えば、『男はつらいよ』シリーズ。

テレビで放映されていたものは、ずっと見ていました。寅次郎の最期まで。

映画で復活してからは、それほど熱心ではなく。

特に、長期シリーズになってからは、縁が遠くなり。

それでも、チラシは、手にして。


1988年の、『男はつらいよ 寅次郎物語』。シリーズの第39作目。

もちろん、原作・監督は、山田洋次。

脚本は、山田洋次と、朝間義隆。


第33代目のマドンナは、秋吉久美子。


第39作目で、第33代目?


二本立て興行の時代です。


『女咲かせます』

松坂慶子の主演。


監督は、森崎東。

脚本は、森崎東と、梶原政男。


『男』と、『女』とで、セットになっています。


これも、松坂慶子演じる主人公が恋をする物語。


チラシに、

「松坂慶子の新しい魅力いっぱいのニューコメディの誕生です。」とありますが、シリーズ化はせず。




1989年の正月興行は、『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』第40作。

マドンナは、三田佳子。

で、この年に、『釣りバカ日誌』が登場。

監督は、栗山富夫。

原作は、やまさき十三と、北見けんいち。

脚本が、山田洋次と、桃井章。

西田敏行と、三國連太郎のコンビの登場です。



1989年の、8月公開。

『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』第41作。

これは、寅次郎が、ウィーンに出かけての物語。

竹下景子がマドンナとして。

同時上映は、『夢見通りの人々』。

監督は、森崎東。

原作は、宮本輝。
脚本は、梶原政男。

主人公は、小倉久寛。
南果歩。三宅裕司も。

気になったのは、このチラシのレイアウト。

『男はつらいよ』に対して、『夢見通りの人々』の扱い。
この扱いの『差』は、何によるものなのか、と。



1990年の、お正月には、

『男はつらいよ ぼくの伯父さん』第42作。

1969年にスタートしたとあります。
21年目とも。

ここから、物語の比重は、寅次郎の甥満男(吉岡秀隆)に。
マドンナは、後藤久美子。

で、『釣りバカ日誌』のシリーズ化が始まります。

監督は、栗山富夫。

脚本は、山田洋次と、堀本卓。

1989(平成元年)の正月映画で、『男はつらいよ』と、この『釣りバカ日誌』の二本立てが、「洋画邦画あわせて断然トップの大ヒットになった」(チラシ)ことから、シリーズ化。

で、『男はつらいよ』と、『釣りバカ日誌』の二本立てが、正月映画となって。



1991年の正月。
『男はつらいよ 寅次郎の休日』第43作。
と、
『釣りバカ日誌 3』。



1992年の、正月。
『男はつらいよ 寅次郎の告白』第44作。
と、
『釣りバカ日誌 4』。

『男はつらいよ』は、1989年までは、年2回の公開でしたが、1990年から、年1回、正月興行として。

渥美清の年齢の問題があって。



1993年の、正月。
『男はつらいよ 寅次郎の青春』第45作。

マドンナは、連続して、後藤久美子。

『釣りバカ日誌5』。


1994年の、正月。
『男はつらいよ 寅次郎の縁談』第46作。

マドンナは、松坂慶子。

『釣りバカ日誌6』。


1995年の、正月。この年、『松竹100年』。
『男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様』第47作。

マドンナは?
チラシに、その顔がないのですが。
物語の上では、かたせ梨乃。

『釣りバカ日誌7』。

みち子さん役が、石田えりから、浅田美代子に変わりました。


それにしても、山田洋次のエネルギー。


『男はつらいよ』シリーズの監督、脚本をつとめながら、

『釣りバカ日誌』シリーズの脚本も。

もっとも、『山田組』があり、悪い言葉を使うなら、下請けに出して、最終的に、手を加え。

というのではないか、と。


『男はつらいよ』は、第48作目の『寅次郎 紅の花』 が、渥美清主演としての最後の作品。

1995(平成7)年12月23日公開の、1996年の正月興行。


渥美清は、1996年8月4日に亡くなります。


最後となった『紅の花』のマドンナは、浅岡ルリ子演じるリリー。


寅次郎のマドンナとしては、一番、『ドラマ』となるマドンナ。


で、この48作目の『紅の花』は、見にいきました。

熱心な観客ではなかったものの、時折の作品は見て。

渥美清の衰えを、痛々しく感じ。

そして、これが最後の作品のなると言われていて。

で、見にいきました。

台詞もかすれがちな、その姿に、お疲れ様と声を。


この『紅の花』のチラシを探したのですが、見つかりません。


『男はつらいよ』、その後、

第49作の『寅次郎 ハイビスカスの花 特別篇』。

これは、評判の高かった第25作『寅次郎 ハイビスカスの花』のリマスター版。

マドンナは、浅岡ルリ子。

第25作、見ています。


そして、第50作『お帰り 寅さん』。

2019年の12月27日公開。

寅次郎の甥の満男が、亡き寅次郎をしのぶという物語。

見ていません。


それにしても、渥美清。

その存在感。

それだけに、『寅さん』 に固定してしまったことが残念なのです。


映画でも、テレビでも、渥美清の演じる人物の、圧倒的な存在感。リアリティー。

優しさも、狡さも。

美しさも、醜くさも。

車寅次郎イコール渥美清ということは、素晴らしいことに違いはないのですが。


チラシを整理しながら、ついつい、手が止まってしまいました。