4月18日(木)、 京都国立博物館で開催中の『雪舟伝説ー「画聖(カリスマ)の誕生ー」』展に行きました。


会期は、

前期が4月13日(土)から5月6日(月・休)。

後期が5月8日(水)から5月26日(日)。


『出品一覧』によると、87点。

そのうち、出品替えがあって、前期は82点、後期も82 点。

ということは、『巻替』などもふくめて、前期と後期とで、ほとんど同じ作品が展示されているということに。


会場は、第1章から第7章にわかれて。


第1章『雪舟精髄』

ここに、雪舟の、『重要どころ』が顔を揃えています。


No. 1『秋冬山水図』(東京国立博物館所蔵)。国宝。



『秋冬山水図』


No. 2『山水図』(京都国立博物館所蔵)。重文。

No. 3『四季山水図』(東京国立博物館所蔵)。重文。

No. 4『破墨山水図』(東京国立博物館所蔵)。国宝。

No. 5『山水図』。国宝。

No. 6『四季山水図巻(山水長巻)』(毛利博物館所蔵)。国宝。





No. 7『天橋立図』(京都国立博物館所蔵)。国宝。

No. 8『四季花鳥図屏風』(京都国立博物館所蔵)。重文。

No. 9『慧可断臂図』(愛知 齊年寺所蔵)。国宝。


雪舟の、国宝、重文が並び。


国宝は、今回、7点。

しかし、もう1点は、

No. 38の、狩野古信の『雪舟筆四季山水図巻模本』。

毛利博物館所蔵の、江戸時代、享保10(1725)年の作品。


まさに、雪舟の『精髄』。


雪舟の国宝は、現在、6点。

そのすべてが、目の前に、勢揃いしていて。

それだけで、感動ものです。


「日本美術史上もっとも重要な画家の一人とされる雪舟(1420~1506?)。六件もの作品が国宝に指定されていることが象徴的に示しているように、雪舟に対する評価は突出したものがあります。しかし、それは単純に作品が優れているという理由だけによるものではありません。雪舟とその作品に対し、歴史的に積み重ねられてきた評価の上に、今日の高い評価があるのです。」(『京都国立博物館だより』2024年4・5・6月号。以下、引用は、同じ)

として、

「本展では、主に近世における雪舟受容の様相をたどることで、『画聖』と仰がれる雪舟への評価がいかにして形成されてきたのかを検証します。」


そのために、第1章で、雪舟が、目の前に、大きくそびえ立つのです。


で、その後は、

桃山時代に、「雪舟の後継者を自称した」雲谷派と長谷川派。

江戸時代、「雪舟画風を流派様式の礎とした」狩野派。

をはじめとして。


「尾形光琳や伊藤若冲、曾我蕭白をはじめ、登場する画家たちは総数30名以上。」


第2章『学ばれた雪舟』


雪舟の重文は、

No. 15『倣李唐牧牛図(牧童)』。(山口県立美術館所蔵)。

No. 16『倣李唐牧牛図(渡河)』。(山口県立美術館所蔵)。

No. 18『倣梁楷黄初平図』。(京都国立博物館所蔵)。

No. 19『倣玉澗山水図』。(岡山県立美術館所蔵)。


第3章『雪舟流の継承ー雲谷派と長谷川派ー』


No. 23が、雪舟の『倣高克恭山水図巻』(山口県立美術館所蔵)。重文。


で、ここから、受容の変遷が。


No. 20、雲谷等益の『四季山水図巻(山水長巻副本)』(毛利博物館所蔵)。重文。

No. 21、雲谷等顔の『山水図襖』(京都 黄梅院所蔵)。重文。14面のうち4面。

No. 24、長谷川等伯の、『山水図襖』(京都 隣華院所蔵)。重文。16面のうち8面。

等伯は、No.25『竹林七賢図屏風』。(京都 両足院所蔵) も。



第4章『雪舟伝説の始まりー狩野派の果たした役割ー』


狩野派。

狩野探幽の、No. 27『山水図屏風』(京都 長福寺所蔵)。No.28 『山水図屏風』。No. 30『竹林七賢・香山九老図屏風』(静岡県立美術館所蔵)。No. 32『富士山図』。


狩野山雪の、No. 33『富士三保清見寺図屏風』。


それは、江戸に入っても続き。


第5章『江戸時代が見た雪舟』


狩野探幽、常信たち。


第6章『雪舟を語る言葉』


そして、


第7章『雪舟受容の拡大と多様化』


No. 58。山本探川の『富士三保清見寺図』(永青文庫所蔵)。

No. 59。曾我蕭白の『富士三保図屏風』(MIHO MUSEUM所蔵)。

No. 60。曾我蕭白の『富士三保清見寺図』。

No. 61。鶴亭筆、佚山賛『富士山図』。(旧ピーター・ドラッカー山荘コレクション)。

No.62 。桜井雪館の『富士三保松原図』。

No.63。原在中の『富士三保松原図』。(静岡県立美術館所蔵)。

No.64。司馬江漢の『駿河湾富士遠望図』。(静岡県立美術館所蔵)。

No.65。司馬江漢の『駿州八部富士図』。

No.66。狩野永岳の『富士三保松原図』。(静岡県立美術館所蔵)。


雪舟を受容する過程で、その雪舟の作品の構図を利用。

そのため、同じ構図の作品が並び。




ここには、さらに、

円山応挙、伊藤若冲、尾形光琳画・尾形乾山作、酒井抱一、勝川春章、葛飾北斎、狩野芳崖らの作品が並び。




82点。


雪舟を中心に、いわば、オールスター。


見終えるまで、3時間ほどかかりました。

しかし、人が、少ないのです。

そのために、ひとつひとつの作品と対面し、じっくりと応対し。


これが、東京開催ならば、もう一度出向くのですが。







まさに、『みんなの憧れ、みんなのお手本』






これほど、内容のある展覧会なのに、訪れる人が少ないのは、なんとも、もったいない。