4月13日(土)、東京芸術座のアトリエ公演No. 47、『医者の玉子』を見ました。

※14日(日)まで。すでに、終了しています。


岡田鉄平の作。


演出は、北原章彦。


A、Bのダブルキャスト。そのB班で、見ました。


西山悠人(関根学)は、大学の医学部受験に3度失敗。

その4回目の挑戦を前に、『自分探しの旅』と称して、クロスバイクで日本一周の旅に出発。

しかし、その出発の日が、豪雨。

奈良の月ヶ瀬。

あえなく転倒して、軽い怪我を。


悠人は、たまたま通りかかったおっちゃん・五味清(簗瀬龍洋)に助けられて、彼のアパートへ。

そこには、彼の妻のふみ(吹田真実)がいて、かいがいしく、世話をやいてくれて。


ふたりは、夫婦ではあるものの、生活を共にしているわけではなく、同じアパート内で、別居のかたち。

しかし、離婚する気持ちは、お互いにまったくなく。


娘のカナ(比留間由佳)は、また、別の部屋に。

そして、その部屋での引きこもり生活。


家族でありながら、『家族』という形をなしていない。


この五味家には、もうひとり、豪太という、カナの兄がいるのですが。

その豪太の『不在』。

家族にとって、その豪太という大切な『ピース』がひとつなくなってしまったために、各ピースは、居場所をうしない。


西山悠人は、西山総合病院の跡取り息子。


父親が、院長。

母親が、副院長。


生まれた時から、男の子として、『医者』になること義務つけられた悠人。


悠人は、期待を一身に集め。

その期待に応えよう、こたえなくてはならないと。

その重圧のもと、医学部受験に落ち続けて。

優秀な姉の存在も重しとなり。


で、4回目の受験を前に、家を飛び出て。

『自分探し』のためと理由をつけて、自転車に日本一周の旅に。


五味家の人びとと、西山家の人びと。


それぞれが、それぞれの『重たい』ものを背負い。


この作品は、その背負った『重たい』ものをおろし、自分が自分として、生きていくことを見つけていく物語。


それにしても、五味家の人びとは、なぜ、悠人の存在にこだわるのか。

旅立とうとする悠人を、とどめるのか。


そこに、五味家の家族、豪太の不在が、大きく関わっているのですが、


そこが、さらに掘り下げられると。

『こってり味』となるのですが。

そこに、物足りなさを感じるのですが。


ただ、そうなると、作品としての『軽み』が失せてしまい。