2月14日(水)、東京芸術劇場プレイハウスで、『インヘリタンス-継承-』を、前篇、後篇の通しで見ました。
(2月24日までの上演)
マシュー・ロペスの作。
エドワード・モーガン・フォスターの小説『ハワーズ・エンド』に着想を得る、とあります。
訳は、早船歌江子。
ドラマターグ、田丸一宏。
演出が、熊林弘高。
エドワード・モーガン・フォスター(1879~1970)。
その『ハワーズ・エンド』は、1910年の作。
ジェームズ・アイヴォリー(1924~)によって、1992年、映画化され。
アンソニー・ホプキンスや、ヴァネッサ・レッドグレーヴなどが出演し、話題となっています。
ウィルコック家の別荘『ハワーズ・エンド』で繰り広げられる物語。
この『インヘリタンス』は、
「現代NYのゲイコミュニティを舞台に前後6時間半で綴る、愛と自由の叙事詩、日本初演!」
と、チラシに。
そして、「オリヴィエ賞4部門、トニー賞4部門受賞!」とあれば、見ないわけにはいきません。
『継承』とあり、「彼らには語るべき物語がある」と。
舞台は、2015年から18年にかけてのニューヨーク。
1980年代の、エイズ流行初期の時代を生きた60代。
そして、30代、20代。
その3世代の物語。ウォルター・ブール(篠井英介)は、ヘンリー・ウィルコックス(山路和弘)に、田舎の家を、エリックに託すと遺言して死去。
その『田舎の家』が、HIVに感染して、死を迎えようとする男たちの、最後の『家』となっていき。
ニューヨークと、その『田舎の家』。
そこで繰り返された、愛憎の物語。
男たちが、出会い、愛し合い、そして、別れ。
ウォルターと、ヘンリーのカップル。
エリック・グラス(福士誠治)と、トビー・ダーリング(田中俊介)のカップル。
やがて、劇作家であるトビーは、その舞台で主役となったアダム・マクダウェル(新原泰佑)と愛し合い。しかし。
と、多くの物語が生まれ。
確かに、長い長い物語。
そこには、それぞれのつながりがあり、しかし、複雑に入り組んでいるわけではないので、混乱は生まれず。
ウォルターの遺言にある『田舎の家』が、一本の『筋』として存在し。
むしろ、その物語が進行していくにつれて、おもしろさが重なって。
新原泰佑は、アダムと、彼にそっくりのレオの2役。
篠井英介も、ウォルターと、E・M・フォスターを思わせるモーガンの2役。
後篇から、麻美れいが、登場し、物語をしっかりと締めくくります。
エドワード・モーガン・フォスター。
他に、
『眺めのいい部屋』(1908)。
『モーリス』(1913年に執筆。1971年の死後に発表。)など。
どちらも、映画化されています。