市川猿之助が、舞台に立てなくなったために、先月の明治座。
昼の公演は、團子。夜の公演は、隼人。
それぞれが、猿之助の代役を勤め。しかも、見事に勤め、その評判からチケットが大いに売れたようです。
テレビなどでも、猿之助のことがニュースとして取り上げられ、それとともに、代役を見事に演じた隼人、團子のみずみずしさも話題となり。
歌舞伎ファンならずとも、見たい、と。
歌舞伎ファンならば、なおさら見たい、と。
しかし、残念ながら、日程が合わず。
で、隼人、團子の『株』は、はねあがりました。
歌舞伎は、いつ何時、舞台に上がれと言われても大丈夫なように、常日頃から備えておかなくてはいけない、とよく言われます。
隼人に関しては、もともと若手の成長株としての評価があり。
團子も、すでに、多くの舞台を踏み。
で、今月、『六月大歌舞伎』。
すでに、舞台の幕は、3日から開きましたが。
その昼の部が、『傾城反魂香』。
近松門左衛門の作を、市川猿翁が補綴・演出。
『三代猿之助四十八撰の内』のひとつ。
三代猿之助は、猿翁のこと。
で、その舞台で、市川中車が初役で、浮世又平、後に土佐又平光起という主人公を勤めるのです。
古典歌舞伎で、中車が中心になるのは、これがはじめて。
義太夫を、幼い頃から肌身に馴染ませ、その糸に乗ることが出来なければ、『古典』は勤めまらないのです。
その又平を支える女房おとくを、猿之助が勤めることになっていましたが。
おとくを、中村壱太郎が演じることとなり。
中村壱太郎。4代目鴈治郎と、2代目吾妻徳穂の間に生まれ。
現在、32歳。
祖父母が、4代目坂田藤十郎と扇千景。
という、名門。
父親鴈治郎の若い頃と比べると、私見ですが、はるかにうまいと思います。
何よりも、華があり。
それにしても、隼人にしても、壱太郎にしても、体型が現代の若者。
顔も小さくて。
團子も出演しています。
土佐修理之助という、大きな役。
六月大歌舞伎は、これから見ます。
市川猿翁の補綴・演出なので、通常見ているものとの相違があり。
3日初日、25日千穐楽。
ただ、一番の期待は、夜の部。
片岡仁左衛門の、いがみの権太。
で、七月ですが、昼の部は、これも猿之助中心の座組でしたが。
『菊宴月白浪 忠臣蔵後日譚』
4世鶴屋南北の作。
奈河彰輔脚本。
市川猿翁脚本・演出。
石川耕士補綴・演出。
市川猿之助演出。
とあり、
これも、『三代猿之助四十八撰の内』。
で、『市川猿之助両宙乗り相勤め申し候』と。
先日、配役変更の知らせが。
猿之助が演じる予定だった斧定九郎。
中車が演じることとなり、宙乗りも。
この六月、七月が、中車の歌舞伎界での今後を決定する、大事な月となりました。
まさに、『正念場』。
猿之助のいない間、澤瀉屋一門を、中車がまとめていけるか、どうか。
中車、團子の親子の、歌舞伎界での、今後の『位置』が定まります。
七月の夜の部は、團十郎中心の座組み。