東京国立近代美術館で開催されていた、『重要文化財の秘密』展。


洋画の会場に。


まずは、高橋由一の『鮭』(1877頃)。

教科書、日本近代美術史のはじめのページに、カラー写真で掲載されています。

しかし、この作品、好きではありません。

くすんだ色合い。

少しも美味しそうに思えない鮭。

もちろん、描かれた『時代』を考えないといけないのでしょうが。




この作品が、「油絵で最初の重要文化財指定(1967年)。」
「由一の興味は、とくに質感表現にあったようで、半身が切り取られているのも、ごわごわした皮と脂ののった身との質感の対比を表したかったからに違いありません。その意味では鮭を吊るす縄にもご注目。」
とあります。

そして、浅井忠の『収穫』(1890)。



浅井忠の作品は、歌舞伎座にも飾られていて。

しかし、貧しい生活がリアルに描かれているので。

そして、
これも有名な、『麗子微笑』(1921)。



ただ、この作品も、家に飾りたくはないのですが。

劉生は、『道路と土手と塀(切通之写生)』(1915)も、展示されています。

むしろ、興味があるのは、心ひかれるのは、
関根正二の作品。

大原美術館の『信仰の悲しみ』が展示されていました。

彼の作品は、所蔵展にもあり、若くして亡くなった彼の思いが伝わって来るのです。

関根正二(1899~1919)




他には、やはり、よく知られている、
黒田清輝の『湖畔』(1897)。
藤島武二の『天平の面影』(1902)。

ただ、どうも明治の洋画は、心に入りにくいのです。

そして、次の会場が、工芸部門。

高村光雲の『老猿』(1893)。



写真、撮り忘れました。
というよりも、その存在感に圧倒されて。
正面から、横から、後ろからと、行ったり来たりしているうちに、撮影したつもりになってしまったのでしょう。

「猿の左手には鳥の羽根が握られています。鷲を捕えようとして取り逃がし、その飛び去る姿を睨みつける様子を表したもの」と言われているそうです。
若い頃ならば、難なく捕えることが出来たでしょうが、歳をとり、昔出来たことが出来なくなって。
老猿の、これまで生きてきた時間を見ることが出来ます。
東京国立博物館の所蔵。機会があるので、ぜひ再会を。

そして、鈴木長吉の『鷲置物』。




同じく、『十二の鷹』。





次第宮川香山の作品は、これまでにも見たことがあり、まさに『超絶技巧』の見事さ。
あらためて、感じました。