4月6日(水)、『アネット』を、見ました。


レオス・カラックス(1960~)の、監督・脚本作品。


久しぶりの、レオス・カラックス。

なにしろ、35年間で、発表された長編が、わずか6本。


『ボーイ・ミーツ・ガール』(1983)

『汚れた血』(1986)

『ポンヌフの恋人』(1991)

『ポーラX』(1999)

『ホーリー・モーターズ』(2012)


そのカラックス作品であり、しかも、「ロック・オペラ・ミュージカル」。


チラシにも、

「愛の大渦(メールストロム)に呑み込まれる、ダークファンタジー・ロック・オペラ!」とあり。

期待は高まるばかり。


原案・脚本・音楽は、ラッセル・メイルと、ロン・メイル。

1972年にデビューしたバンド『スパークス』。

彼らが、スタジオアルバムとして構想していた物語。


冒頭は、音楽スタジオ。

メイル兄弟がいて、カラックスがいて。彼の娘のナスチャもいて。

で、みんなで『So May We Start 』の歌を歌いながら、カラックスのかけ声で、夜のロサンゼルスの街にくり出し。

そこに、アダム・ドライバーや、マリオン・コティヤールも加わり。

路上をかっ歩。

そのうち、アダム・ドライバーや、マリオン・コティヤールが、衣装を身につけ。

アダム・ドライバーは、ヘンリー・マックヘンリーという、スタンドアップコメディアンに。

マリオン・コティヤールは、アンという、オペラ歌手になり。


物語のはじまり。


それだけで、すでに、わくわく。気持ちが高揚して。


そのヘンリーと、アンが恋に落ち。

「愛が、たぎる」(チラシから)のです。


ヘンリーは、辛辣な言葉を、銃弾のように撃ち込む、スタンドアップコメディアン。


アンは、オペラハウスで、『死』を歌う、人気絶頂のオペラ歌手。


やがて、ふたりの間に、アネットが生まれ。


そのアネット、人形で。

しかし、その動き、その表情。ごくごく自然で。違和感もなく。


やがて、ヘンリーの、「過激」なステージは、人々から避けられていき。


その人気が落ちるとともに、酒に溺れ、アンに嫉妬し。


嵐の夜、酒に酔ったヘンリーは、強引に、アンを甲板に誘い、ダンスを。


荒れた海、船は、波に翻弄され。

その波が、アンを海中に。

命からがら、海岸にたどり着いた、ヘンリーと、アネット。


幼いアネット。

しかし、彼女には、人を魅了する歌声があり。


歌うは、かつて、ヘンリーと、アンの歌った『We  Love  Each  Other  So  Much』。


ヘンリーは、アンのピアノ伴奏者(サイモン・ヘルバーグ)とともに、アネットを舞台に上げ、世界各地での興行に。


伴奏者、かつて、アンとつき合っていた男。

アンへの想いを捨てきれず。


アンの幽霊も、登場して。


そして、殺人が。


愛と、死。そして、殺人。

まさに、『オペラ』。


そして、どうなるか。


細かな筋立ては、映画を見ての、お楽しみに。


ただ、これだけは。


刑務所にいる父ヘンリーを訪ねた、5歳のアネット。

その姿は、人間の女の子。

そして、彼女が、父親に、訣別を告げて去ったあとに、人形のアネットと、彼女が常に持ち歩いていた、猿の縫いぐるみが、残されて。


なぜ、アネットは、人形から、人間の女の子になったのか。

そもそも、なぜ、人形だったのでしょうか?


アンが食べていたのが、りんご。

ヘンリーは、バナナ。


140分。濃厚、濃密な時間を、堪能しました。









『スパークス』の、ドキュメンタリーが、公開されます。