7月14日(水)、「あうるすぽっと」で、serial numberの『hedge1-2-3 』を、見ました。


詩森ろば作・演出。


この『hedge1-2-3』は、総合タイトル。

チラシによると、

もともと、2013年、「日本初のバイアウト・ファンド、マチュリティーパートナーズの創設とクレーン会社『カイト』の再生を描いた『hedge』」。


2016年、「マチュリティーパートナーズの創設メンバーのエリート社員が行ったインサイダー取引と、それを巡る証券取引委員会との息詰まる攻防を描いた続編『insider-hedge2-』」。


そして、

2021年、その2作品を

「大幅にリライトの上、2幕構成の作品へと凝縮し『hedge/insider 』として構築。インサイダー取引で失墜した信用を取り戻すべくマチュリティーパートナーズが奔走するなかで、資本主義の矛盾を見つめなおす新作『trust -hedge3-』を加え、総合タイトルを『hedge1-2-3 』として連続上演」。


で、見た作品は、その『hedge/insider 』。

構成は、1幕の『hedge』つまり、マチュリティーパートナーズと、株式会社カイトを描く110分。

休憩15分をはさんで、

マチュリティーパートナーズと、証券取引等監視委員会を描く50分。


舞台は、上手、下手、奥と、三方を、取り囲んだ、二階建て構造で、事務所内部の設え。

その二階からは、梯子を用いて、下のフロアに。

で、その一階、二階に、それぞれにドアが3ヶ所。

それらを駆使しての、「デハケ」。


まずは、私服姿で登場した役者たち。

台詞のやり取り。

しかし、すぐに、仲間内から、そこで用いられている、経済の専門用語が、理解不能とのクレーム。

確かに、開演して、役者たちが登場し、スピードあふれる台詞のやり取り。その内容に、すっかり置き去りにされて、今後の展開への不安が、急速に高まっていたところでした。なにしろ、単語の意味が、分からないのです。カタカナ言葉の、専門用語が、速射砲で。

開演して、10分たたないうちに、脱落か、と。

6000円が、と。


で、進行が止まり、原義孝が、二階のドアを開けて、さっそうと登場。

二階の壁に、数字や、表を映し出し。

用語解説と、今後の展開への不安の解消。


そして、激しい音楽と、交差する照明のなか、舞台上で、役者たちの「生着替え」。

スーツ姿へと。

ここからが、いわば、本番。


マチュリティーパートナーズの設立。

代表に、茂木正彦(吉田栄作)。

彼の代表就任を口説き落とした、やはり代表の加治崇之(加藤虎之介)。

同じく代表の井戸田甫(浅野雅博)。

社員の片桐章介(佐野功)、

国分哲也(酒巻誉洋)。

インターンの谷川悠太郎(原義孝)。


一方、株式会社カイト。

代表取締役社長の海渡幸司(岡田達也)。

営業部長本宮晋也(根津茂尚)。

製造部社員野々村保(藤尾勘太郎)。

経理部社員城嶋祐樹(池村匡紀)。

自動倉庫部門責任者山元信一(今奈良孝行)。


それぞれの企業内、そして、ふたつの企業のやり取り、それが、緊迫したなかに、スピード感を持って展開していきます。


対立があり、葛藤があり。

人間関係があり。


そして、株主会社カイトの「再生」。


2幕は、株主会社カイトの人間を演じた役者たちが、証券取引等監視委員会のメンバーとなって、マチュリティーパートナーズに迫ります。


委員会の、厳しい取り調べ。

すでに、マチュリティーパートナーズは、退路を断たれて。


ただ、この2幕、急ぎすぎていて、「背景」の描きが粗くなってしまったのではないかと。