イタリアの、エルマンノ・オルミ監督が亡くなったとの報道。

5月7日に、亡くなられました。

1931年7月24日生まれ。今年、86歳。

彼の作品、最初に出会ったのが、「木靴の樹」。1979年のことです。神保町にある岩波ホールです。

オルミ監督の、長編第9作目。彼の存在、彼の作品は、ヨーロッパでは、注目されていたそうですが、日本には、紹介されていませんでした。

「木靴の樹」は、19世紀末の、北イタリアのベルガモの農村が舞台。地主の支配する土地、そこに暮らす貧しい四家族。
装飾を、削りに削り、残されたのは、純度の高まった、リアリズム。あるがまま、ありのまま。彼らの生活を描いていきます。
そのため、俳優を使わず、全員が素人のキャスティング。
その艶のない、荒れた肌。彼らのシワのひとつひとつに、「人生」や「生活」が、刻みこまれていました。
彼らは、演じてはいません。そのまま、そこに、存在していたのです。
しかも、それを、全て、自然光で撮っている。
上映時間、186分。
長い、です。途中、トロトロもしました。
それでも、ゆったりと流れる大河の中に、溺れるように、引き込まれていきました。
J・S・バッハの音楽が、作品を、支えていました。

この作品は、1978年のカンヌ国際映画祭で、パルムドール賞を得ています。

その後、1987年の「偽りの晩餐」で、ヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞。
1988年には、「聖なる酔っぱらいの伝説」が、同じくヴェネチアで、金獅子賞を、受賞しています。

そして、2007年の「ポー川のひかり」。
2011年の「楽園からの旅人」。
2014年の「緑はよみがえる」。
と、寡作な監督の作品を、見続けて来ました。

ただ、しかし、やはり、最初に出会った、「木靴の樹」が、一番、心に焼き付いているのです。





我が人生における、映画のベストテンを選ぶとしたら、この作品、入ります。

といっても、ベストテン、考えたことはないのですが。