4月29日(土)、東京散策ツアー。
東京は、そのまま、江戸につながっています。火事があったり、地震があったり、戦争があったり。
いろいろなことを堆積しながら、今の東京があります。

で、まずは、南北線の本駒込で下車。
高林寺に向かいます。曹洞宗。明暦の大火で類焼して、この地に移ったとのこと。
明暦の大火は、1657(明暦3)年、江戸の大半を焼いた大火事。
天守を含む江戸城や多くの大名屋敷、市街地の大半が焼失。死者数は、3万から10万人という。説が、いろいろあるのです。
その後、江戸城の天守は、再建されず、今では、その土台のみが残っています。
振袖火事とも、丸山火事とも呼ばれています。
今日は、その火元も訪れます。そこで、また、触れます。



高林寺では、緒方洪庵の墓碑。



緒方洪庵は、蘭学者、医者。号は、適々斎。
1838(天保9)年、大坂・船場に蘭学の私塾、適塾を開きました。正式には、適々斎塾。大阪市中央区北浜に、今も。建物は、大阪大学が管理しています。
1976年から解体修理が始まり、1980年に完成。一般公開されています。
緒方洪庵さんと、対面出来ます。像ではありますが。
大阪に行った時などには、ぜひ。ここで、多くの若者たちが切磋琢磨したと思うと、感慨ひとしお、です。大げさ、ですね。
独特の教育方法だったそうです。門弟3000人と言われ、多彩な人物を輩出しました。
大鳥圭介、大村益次郎、佐野常民、高峰譲吉、橋本左内などなど。その筆頭が福沢諭吉です。
1862(文久2)年、江戸に出府。幕府奥医師・西洋医学所頭取となりました。
墓碑の右が、森鴎外の追賛碑です。

本郷通りを北へと、進みます。
通りの左手に、南谷寺(天台宗)。江戸五色不動の一つ、目赤不動。



1616(元和2)年、比叡山の南谷にいた万行律師により開かれました。熱心な不動明王の信奉者で、伊賀の国赤目山に行きなさいという、夢のお告げがあり、その山頂で熱心に祈っていると、天から、黄金の不動明王像を授かった、とか。
それが、1628(寛永5)年、三代将軍家光が鷹狩りに訪れた時、それまで、赤目不動と呼ばれていたのを、目黒不動や目白不動にちなみ、目赤不動と呼ぶようにと。

隣の養昌寺(曹洞宗)。ここには、樋口一葉の師でもあり、想い人でもあった半井桃水の墓があります。作家、です。




さらに、北上。

吉祥寺、です。



中央本線に、吉祥寺という駅があり、また、町もあります。
その、もともとは、この寺なのです。
明暦の大火で、この吉祥寺の門前町も焼失。その後の、幕府による都市計画の中で、住人たちを、現在の吉祥寺に移住させたのです。住人たちは、愛着ある名前を、そのまま、新しく住むことになった土地につけ、吉祥寺、としたのです。
で、吉祥寺、です。曹洞宗のお寺。
創建は、1458(長禄2)年、太田道灌の開基。もともとは、その当時の城の中にあったとか。徳川家康の、江戸入府にともない、駿河台に移り、さらに、明暦の大火により、ここ駒込の地に。
駒澤大学の前身でもあります。
東京大空襲で、七堂伽藍は焼失。山門と経蔵のみが残された。
大きなお寺です。
山門をくぐり、参道を歩いていくと、左手に、
八百屋お七と吉三郎の比翼塚。



お七は、本郷の八百屋の娘。火事で避難した寺で、寺小姓と恋仲になる。やがて、店が再建され、家に戻ったお七は、再び、火事があれば、会えると思い、放火。その罪のため、鈴ヶ森の刑場で火あぶりにされた。
という話。事実か創作か、説が分かれます。
井原西鶴の「好色五人女」に描かれています。また、歌舞伎や文楽でも。
左手に、川上眉山の墓。



右手に、二宮尊徳の墓碑。



後で、遺髪を納めたと。3月に、今市の報徳二宮神社で、その墓を見てきたばかりです。
さらに、進んで、左手の奥に、鳥居耀蔵。



江戸後期の幕臣。ただ、天保の改革で、おとり捜査を常套手段としたり、蛮社の獄で、渡辺崋山や高野長英などの蘭学者を弾圧など、忌み嫌われ、当時の人々から、蝮の耀蔵とか、妖怪(甲斐守と耀蔵をもじった)とか呼ばれていたとか。
榎本武揚の墓を探して、なかぬか見つからず、寺務所で尋ねると、親切にも、案内をしてくださり、いろいろと、お話を聞くことも出来ました。感謝、です。
ようやくたどり着いた、榎本武揚の墓。





長い参道でした。

そろそろお昼。
そう思って、最初にあった店が、和泉屋。
しょうが焼き丼ともりそばのセット。
ついつい、セットにしてしまうのです。
950円。




続きは、2で。

「東京都の歴史散歩 中 山手」東京都歴史教育研究会編(山川出版社・2005年)を持ちながらの散策です。ここに記した内容も、この本を用いています。
歴史散歩全47巻(57冊)というシリーズがあり、旅行の際、例えば、京都なら京都の、「京都府の歴史散歩」を持って出かけます。このシリーズの中で、東京都と京都府が、上中下の3冊。
神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県が2冊。

続きも、この本を利用しています。
また、ウィキペディアも、参照しています。