ビートルズ、シングル盤私的雑感(その124)/オール・マイ・ラヴィング/ラヴ・ミー・ドゥ(1) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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今回も1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。今回は1964年に日本独自で企画されたシングル『All My Loving / Love Me Do』の話です。

意外なのですが、この名曲、アメリカでシングル・リリースされていないんです。あの貪欲なキャピトル・レコードがですよ! もちろんイギリス本国でもシングルとしてのリリースはなく、EP盤(コンパクト盤)として4曲入りでリリースされ、そのEP盤がシングル・チャートの13位まで昇るという快挙を成し遂げています。そして我が日本では、さすがにシングルでリリースされていました。


(日本盤シングル『All My Loving / Love Me Do』)

「All My Loving」は、曲調そのものはカントリーに近いメロディを持っています。もともとカントリー・ミュージックの起源がケルト音楽にある訳ですから、ある意味ではアイリッシュの血を引くポールにとって、カントリーは馴染みの深い曲調・リズムを持っていたと思われます。ですので、この『All My Loving』も彼の血の中から出たエッセンスが凝縮したものと言えるかもしれません。

もともとアイリッシュ・ミュージックの中には、ダンスを主とするための音楽が多く、それらの多くは三連のリズムを持っていました。この「All My Loving」も三連が強調されていますが、恐らくポールが作った当初は、シャッフルに近いリズムであったと思われます。試しにこの曲を、シャッフル・ビートでギターを弾きながら歌ってみると判るのですが、非常にカントリー色が強くなります。

しかし、ジョンがあの強力な三連のカッティングを入れたことで、一気にロックンロールに替わりましたね。本当に見事なコンビネーションです。ジョンはインタビューの中でこの「All My Loving」を誉めており、ポールの作品であることに嫉妬するといった意味の話をしていますが、実際にはあの強力な三連カッティングのギターを入れたアイデアこそ本当に秀逸であり、その意味ではまさに『レノン=マッカートニー』作品として十分に成立していると思います。

アレンジ面では、ポールのベースラインが光っています。メロディが基本的に上昇ラインであるのに対して、ベースが下降ラインのランニング・ベースであることがこの美しいメロディを引き立たせています。多くの解説本などで「対位法」云々とこのパフォーマンスを褒めそやしていますが、恐らくポール自身はそんなことは意識していないと思います。カッコいいからやってみた、それが結果的にそうなった、程度のことでしょうね。

この続きはまた明日に。