『ラッシュ/プライドと友情』
1970年代のトップF1レーサーと言えば、ジャッキー・スチュアート、マリオ・アンドレッティ、ニキ・ラウダ、ジェームス・ハントとすらすら出て来るほどに世界的に良く知られた面子だが、彼らが実際にどのような人となりで、どのような生活をしていたかは、あまり知られていなかったかもしれない。特に、ここに列記したジャッキー・スチュアートとニキ・ラウダは、ジョージ・ハリスンの友人ということもあり、実話であるこの映画に興味を惹かれたのでした。(ジョージはこの二人と、事故死したロニー・ピーターソンに「Faster」という曲を捧げています。)
この映画は、F1レーサーでも1975~77年頃に、ライヴァル同士として競い合った二人、ニキ・ラウダとジャームス・ハントにスポットを当てた作品です。ほぼ同時期にデビューを飾り、すぐにトップ・レーサーの仲間入りをしたこの二人は、75~77年に年間チャンピオンの座を争った二人であり、片やフェラーリに所属し、片やマクラーレンに所属という、文字通り最大のライヴァル関係にありました。
またこの二人が非常に対照的で、真面目で研究熱心なニキ・ラウダ、天才的だが酒に女に破滅的な生活を繰り返すジェームス・ハント。しかしハントらの強行意見で結構された激しい雨中でのグランプリで、ラウダが大事故で重傷を負います。それに責任を感じていたハントに対し、リハビリ途中でもレースに復帰するラウダ。二人の年間チャンピオン争いが再燃する中、二人のお互いへの友情にも似た想いが交錯します・・・。
どれほど異なる性格や異なる手法を持った者同士でも、同じ目的に向って競い合う大きな才能を持った者同士が得ることができる共感、それがこのストーリーの根幹です。我々凡人には羨むことしかできないのですが、その縮図はどこにでもあるもの。互いの才能を認め合う者の存在は、その二人の引き起こすケミストリーで、その成果が大化けすることもあるでしょう。例えばビートルズのジョンとポールのように。そんな想いを持ちながら、この作品を観ていました。
そう言えば、この作品を観に行った時の時間の都合で、字幕ではなく吹き替えで観たのですが、この二人の主役の声を演じていたのがKinKi Kidsの二人でした。この事実には、知らずに観て観賞後に気付いたのですが、なかなか二人の声の出演も良かったですよ。
とても良く出来た作品でした。面白かったです。