サンタになれたら。2 | ☆心中常感謝無忘☆

サンタになれたら。2

ふと、小さな頃の記憶が頭をよぎる。



『ねぇ、僕サンタさんに会ってみたい』


プレゼントなんて要らないから、と母に頼んだ日。



『僕、サンタさんになりたい』


そしてたくさんの人にプレゼントを配るんだ、と目を輝かせていた日。



そう
それは、

決して"昔"の想いではない。



「サンタになれたら――――…」


少しでも、
たくさんの人の笑顔を見る為に。


「サンタ」になる事で、
幸せになれる人が増えるように。



こんな小さな小さな世界のチリみたいな俺でも


誰かを幸せに出来るような



サンタさんみたいな

そんな人になりたいって、
そう――…。




―…澄んだ空に、月が輝いている。

小さなアンティーク屋さんのショーウィンドウに、サンタの置物がたくさん飾ってあった。

そんなサンタを見て、マフラー越しに


「俺も…
あなたみたいな人になりたいよ」



そう呟いた時だった。





『お入り』



どこか懐かしいような、暖かい声がして。

その途端、勝手に開いた扉を
俺は不思議だとも思わず、引き付けられるようにその店に足を踏み入れた。