その運行にこの前の週末、異変が起きた。中心部のインド門広場でレイプ事件に抗議するデモが過激化した影響で、デモ隊を現場に近づけないために９つの駅が閉鎖、または他線への乗り換えのみの運用になったからだ。メトロ１０年の歴史で、デモのせいでこれほど大規模に駅が使えなくなるというのは、極めて異例だという。
ちょうどその日、所用でメトロに乗った。列車はまるで快速運転のように、中心部の駅をすいすい通過してゆき、目的地にやや早めに着いてしまった。こちらは助かったが、翌日の新聞には市民の怒りの声が満載されていた。
このメトロ。乗って奇妙に思うのが、時間帯にもよるかもしれないが、客の大半が男性だということだ。保守的な習慣が残るインドでは、まだまだ「女性は家庭に」という考えが根強いからだが、悩ましいのは、混雑しているときの日本人とは違う強烈な体臭だ。
今は、夏場よりましとはいえ、「快速運転」は、なかなかドアが開かず、困りものである。もちろん、苦情報道にそんな声はなかったが。（岩田智雄）
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